ちらつかせている落としどころ自体は、意外と踏みこめるかもしれないという期待をもてた。よく似た社会問題をとりいれながら心情の変化を落としどころとした『輪るピングドラム』よりは、素材にした社会問題にもそれなりのけじめをつけそうではある。
しかし、この落としどころに向かうための伏線が少なく、余計な脇道が多すぎた。トリックスターのハイヴなど、そもそも魅力的に感じさせるべきキャラクターではなかったのに、登場まで期待を持たせすぎた。もっと結末から逆算するようなシリーズ構成にできなかったものか。
それに第1話の映像的な衝撃を台無しにするような無血テロがつづいているため、原子爆弾を持ちだしても緊張感が設定ほどは画面に生まれない*1。この動機なら、主人公ふたりに途中で人を殺させることだってできたろうに。たとえば無差別テロに見せかけて、アテナ計画の関係者だけを殺すというかたちで。