法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『NHKスペシャル』東京が戦場になった日

今年3月15日に放映されたドキュメンタリー枠のフィクションドラマ。空襲下の東京で活動していた消防隊の人間模様を描く。


初放映時は90分枠だったが、8月15日0時半に98分の長尺版も放映予定。
NHKスペシャル終戦特集ドラマ「東京が戦場になった日」#18「8月15日(14深夜0:30~)に98分版で再放送!」 | 東京が戦場になった日 | ドラマスタッフブログ|NHKドラマ
これまでの特集ドラマと比べて、かなりフィクション度が高い。特定の人物をモデルにせず、群像劇のように描いているためか。聴覚障碍者の少女が空襲に気づかない場面など、単独では興味深い登場人物なのに、使い捨てられるように物語から入退場して、あざとさが鼻についた。
冒頭や結末で主人公の老いた現在を描いたり、その時に東日本大震災原発事故で出動した消防隊を劇中テレビで見せたり、過去と現在をつなげようとする演出も露骨だ。今となっては民放の特別ドラマで多用されており、かつて黒澤明脚本などで初めて試みられた時代の新鮮さはない。現代にあえて用いるだけの必然性を感じさせてほしかったところ。
軍隊ではなく本土の消防隊として、ただ国民を守るだけに身をささげる少年たちのドラマとしては面白かったが、はっきりした軸がない。


ただ映像面では悪くなかった。予算は厳しそうなのに、街角ひとつ作って燃やして見せる。残っていた当時のポンプ車を3台も借りて活躍させる。望楼は、戦前に建てられた高輪消防署二本榎出張所で撮影する。現代の火災シーンは、取り壊し予定の市営住宅を実際に燃やす*1
空襲の3DCG特撮もドラマとしてはリアリティ高く、あくまで地上から見あげる視点で空中戦を描いたカットなど、印象に残った。