法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

日本の調査捕鯨は非科学的という判決に、政治家怒りの鯨飲馬食?!

自民党捕鯨議連*1の総会で、国際司法裁判所の判決に対して反発が起こったという。産経が伝えていた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140402/plc14040217430015-n1.htm

 石破茂幹事長は「感情的にならず、調査捕鯨が続けられ、きちんとした立証のもとに商業捕鯨ができることを世界に認識させる努力をしなければならない」と冷静な対応を促したが、出席者は判決に怒り心頭。
 総会で振る舞われた鯨のひき肉を使ったカレーライスをほおばり、気合を入れ、国際捕鯨取締条約からの脱退も辞さない決意で捕鯨政策を推進するよう政府に求める決議を採択した。

「鯨飲馬食」は多量に飲み食いするという意味の四字熟語なので、本当にエントリタイトル通りのことをしたかまでは読みとれない。さすがに酒は出なかったろうと想像する。


しかし、むしろ暴飲暴食するだけなら、まだしも良かった。
わざわざ鯨肉を使ってしまっては、科学調査より食用目的を重視している印象を持ってしまう。調査のため殺傷した鯨肉を食用にすることまでは判決でも否定されていないにしても。これは内輪向けの宣伝でしかない。
食用目的なら、むしろそれを自覚し、その目的のために手段を考えるべきだった。手段のための建前にすぎない調査捕鯨を、いつのまにか科学的に必要なことと信じこんで固執してしまい、沿岸捕鯨などの残された手段が軽視されていく。


むろん、これは捕鯨だけの問題ではないし、たぶん日本だけの問題でもないだろう。
「自国は正しい」という国内向けの宣伝が成功したことで、国外からの評価と乖離してしまい、それが明確になることで「自国は正しい」という観念がいっそう強固になってしまう。そして宣伝にすぎなかったことが忘れられ、国外からの評価どころか国内の現場からの評価とも乖離してしまう。
また、国外からの評価を不当とみなすために、複数国家から批判された時でも、一国が批判しているだけと思いこもうとする。そのため他の国は騙されていると前提におき、宣伝するだけで寝返ると予想し、国内向けと同じ内容の宣伝をしてしまい、いっそう国外との乖離を印象付けてしまう。
こうした宣伝に使われる「科学的」や「専門家」は、「自国は正しい」という観念が客観的であるかのように装うための手段にすぎない。実際に科学的だったり専門家が支持していることもあるが、そうでないこともある。

*1:記事中でもふれられているが、鈴木俊一環境相が会長というのも印象が悪い。