法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

このアートから靖国参拝批判だけ削除させるって、逆に検閲の真意が明らかになるだけだと思うのだが

東京新聞が批判的に報じているものの、美術家とはがした紙の写真しかないので、あたかもアジビラであったかのように一部で受け止められている*1
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014021902000136.html

 撤去を求められたのは、神奈川県海老名市の造形作家中垣克久さん(70)の作品「時代(とき)の肖像−絶滅危惧種」。竹を直径一・八メートル、高さ一・五メートルのドーム状に組み上げ、星条旗や日の丸をあしらった。特定秘密保護法の新聞の切り抜きや、「憲法九条を守り、靖国神社参拝の愚を認め、現政権の右傾化を阻止」などと書いた紙を貼り付けた。代表を務める「現代日本彫刻作家連盟」の定期展として十五日、都美術館地下のギャラリーに展示した。

 美術館の小室明子副館長が作品撤去を求めたのは翌十六日朝。都の運営要綱は「特定の政党・宗教を支持、または反対する場合は使用させないことができる」と定めており、靖国参拝への批判などが該当すると判断したという。中垣さんが自筆の紙を取り外したため、会期が終わる二十一日までの会場使用は認めたが、観客からの苦情があれば撤去を求める方針という。

 美術館は東京都歴史文化財団が都の指定管理者として運営。小室副館長は取材に「こういう考えを美術館として認めるのか、とクレームがつくことが心配だった」と話す。定期展は今回で七回目だが、来年以降、内容によっては使用許可を出さないことも検討するという。

しかし共同通信配信記事で作品を見ると、紙をはりつけることを前提にしつつ、あくまで立体物として表現された現代美術であったことがわかる。
http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014021901001680.html

隙間をのぞきこんだりして楽しむのだろう、いかにも現代美術らしい作品。サイズから考えて、おそらく写真で見るよりも間近で見てこそ圧倒されそうだ。このビラが大量にはりつけられたアートから、ほんの一部だけが削除されたからこそ、美術館の恣意性が際立つ。
もういっそのこと、美術館からの作品撤去要請を報じる新聞紙もはりつけたらどうだろう。それをふくめて成立しそうなほど表現としての強度は感じる。


……正直にいうと、作者の風貌もふくめてアウトサイダー的なものも感じるけどもだ。
あと、これビラを削除させなかったほうが主張が目立たなくてすんだんじゃないのか美術館は。