法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Free!』のJ-cast記事にイラッ☆

作品の話運びや作画スタイル*1が好みではないことは別として、どうにもこうにも記事の語り口が気持ち悪い。
女子熱狂のアニメ「Free!」DVDが売上3位に 「奴らの購買力すげーな」アニオタ男もタジタジ : J-CASTニュース

Free!」を手がける京都アニメーションは、「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」「けいおん!」など、いわゆる萌え系アニメでヒットを飛ばしてきた。

ロボットアニメ『フルメタル・パニック!The Second Raid』の位置づけが気になる。ヒットしていないあつかいで無視されているのか。

10月2日からスタートする京アニの新作は、鳥居なごむさんによるライトノベル境界の彼方」を原作にした同名テレビアニメ作品だ。半妖の少年と、ある一族の生き残りの少女をめぐるアクションファンタジーだという。女性向けアニメ偏重化はとりあえず免れたようだ。

萌え系アニメは複数作品をあげて「ヒットを飛ばしてきた」と評しているだけなのに、女性向けアニメはたとえ1作品だけであっても「偏重化」を恐れる。視聴者がそういう反応をしているのだと伝える意図だとしても、記事は距離をおいて批判的に見るべきだろう。身勝手な視聴者と同一化して記事を書く場合もあるが、それならば自覚的な語り口にするべきだ。
基本的に原作つきアニメでしか売れなかった京都アニメーションが自社ライトノベルレーベルをたちあげて、それをアニメ化した第2弾が『Free!』なのだという視点もない。自社でコンテンツ著作権をおさえようとする明確な意思は、『中二病でも恋がしたい』に始まり『境界の彼方』へと続いている。むしろ商業的に健全な動きといえるのではないか。


もちろん記事の細部にも違和感がある。

1話目は筋骨隆々とした主人公の入浴シーンにはじまり、裸エプロン姿までお目見えした。

細かいところだが、競泳パンツをはいたままエプロン姿になったものの、裸エプロンではない。
女性キャラクターが裸エプロンのような格好をしてもニュースにならないのに、男性キャラクターが裸エプロンのような格好をすればニュースになるという、そのカルチャー状況そのものに目を向けようとしないのか。
インターネットにあるという匿名コメント群も身勝手なものばかりで、読んでいて気分が悪い。いつものJ-cast記事らしいといえばそれまでだが。
(2/2) 女子熱狂のアニメ「Free!」DVDが売上3位に 「奴らの購買力すげーな」アニオタ男もタジタジ : J-CASTニュース

実際、放送開始後、「こっち方面の商売に味をしめて、萌え系アニメに戻ってこなくなったら心配だわ」「明らかにターゲットの対象外なのは正直寂しいな 技術は業界最高峰なんだし(略)婦女子も男も楽しめるアニメなら一番ありがたいのだが」「ホモネタが流行ってるのをいいことに腐女子が調子に乗って、ついでにアニメ会社も調子に乗って、しまいには腐女子以外寄り付かなくなり、結果コンテンツが潰れると予想」といったコメントもインターネット上に多数寄せられていた。

コメントのひとつに「明らかにターゲットの対象外なのは正直寂しいな」とあることから、おそらく反応の平均はそれほど身勝手なものではないだろう。だとすれば、そのように抽出したJ-castの責任は重い。

*1:たとえば水を液体として作画しようとするカットがほとんどなく、それらしいテクスチャを手描きするような作画にとどまっている。通じない例え話をするなら、橋本敬史が新技法を開発せず、ワンパターンな作画を量産しているような印象。