法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

女性スタッフが増えたらアニメがつまらなくなるというなら、日本のアニメは最初からつまらなかったんだよ

すでに「硬派」という表現の不適格さや、女性蔑視にすぎないことへの批判は充分にされているので、『装甲騎兵ボトムズ』等のスタッフについて指摘しておく。
アニメがつまらなくなったのは女性がアニメ会社に進出し出したからと言われてる件で

けれど、僕が夢見たボトムズとかスクライドみたいな硬派なアニメは限りなく淘汰されていくんだろうな。

そのTVアニメ『装甲騎兵ボトムズ』は、加瀬充子監督が演出家として各話コンテ演出をローテーションで任された作品であり*1、シリーズ初のOVA『ザ・ラストレッドショルダー』ではコンテ演出に抜擢された*2ということを知らないのか。
映像作品の基幹のひとつを女性スタッフが担当していた作品を、わざわざ女性スタッフ嫌悪のために持ち出す不思議。ちなみに『スクライド』にも1回だけだが参加し、近年も精力的に各社で仕事をつづけている。


また、この記事を書いた者の認識は、つとめていたという会社についての説明を見ても違和感がある。

確かにここ4〜5年で女子人口が圧倒的に増加した感は否めない。
かくいう僕も以前はアニメイトの子会社に勤めていたけど幹部格に女子社員が多く自身の意見が周囲から浮いてるのは感じていたし
それが容れられず女子社員の意見が多く採用されたことは、悔しさとは別の感情が蠢いていた。

たしかにアニメイトフィルムというアニメ制作企画会社は存在した。上映や放映をおこなわずに映像ソフトで直接公開するOVAが華やかなりしころ、ライトマニアに向けたような作品を多く作っていた。その中には「硬派」といえなくもないアニメ作品も一応あった。

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上記どちらも田中芳樹原作のアニメ作品。長大な架空戦記から見どころだけを映像化したものだが、それなりに起承転結はまとまっていたし、なかなか作画は綺麗でダイナミックなアクションも散りばめられて、原作ファンでなくても楽しめたことをおぼえている。そして「硬派」な印象がないでもない。
しかし、これらは女性観客層が支持した作品だ。女性の性的な魅力を商品化した作品を「軟派」と定義するならば、そうでない「硬派」な作品を女性が支持することに不思議はない。
他に下記サイトでは、アニメイトフィルムが制作した作品リストがある。意外とバラエティある作品がそろっているが、女性スタッフや女性ファンが増えることに比例して「硬派」ではなくなっていったという傾向は感じられない。
アニメイトフィルム のプロフィール - allcinema
少女アンドロイドをむかえた放送局内の騒動を喜劇的に描いた密室ドラマ『アンドロイド・アナ MAICO 2010』や、女性しか存在しなくなった遠い宇宙での戦争を描いたSFシリーズの『レア・ガルフォース』など、いわゆる萌えアニメの主流から外しつつも、いわゆる「硬派」とはいいがたい作品が目立つ。


元となった記事を書いた匿名証言は興味深くはあるが、仮に主観的な事実と仮定しても、かなりゆがんだ色眼鏡を通して見た風景なのだろう。
何より女性嫌悪をこじらせておいて「意見が周囲から浮いてる」「容れられず女子社員の意見が多く採用された」と主張しても、それは当然だろうという感想をおぼえざるをえない。

*1:その数年前からサンライズ作品のコンテ演出を何度も手がけてはいたが。

*2:ただしコンテは谷田部勝義と連名。