法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』やりクリしてハワイ旅行/しずかちゃんのはごろも

大宅光子コンテ演出回*1。アニメオリジナルの秘密道具を使ったひねりのない前半と、まるで戦後すぐのような古臭い田舎が登場する原作初期作品をアニメ化した後半を、アニメーションの力技で押し切った。


Aパートは、目標通りの収支に家計をおさめる秘密道具「やりクリ」が登場。同じテレビ朝日系列の『黄金伝説』を思わせるノリで、ハワイ旅行を目指した一ヵ月一万円生活が行われる。
ヤリクリに隠れて食べたお菓子を「秘密の味」という台詞で楽しんだり、達成寸前に来た大切な客をもてなすためドラえもんがドラ猫に扮して暴れる天丼ギャグを見せたり、小ネタを重ねることで楽しませてくれた。あまり『ドラえもん』らしくはないが。


Bパートは、空を飛べるようになる羽衣のような布「フワフワオビ」をめぐるドタバタ劇。かなり短い原作を、大幅にふくらましつつ、現代でもギリギリ成立するように改変。
しずちゃんの日常芝居が細かく作画され、羽衣を追いかけるドラえもん達も動く作画で楽しませてくれた。劇の稽古という原作通りのシチュエーションをいかして、別の劇を稽古していたジャイアンスネ夫を入れこだのもうまい。
野良仕事をしている男がしずちゃんを天女と考える時代錯誤な描写も、酔っぱらった老人キャラクターに設定しなおすことで、現代を舞台として成立させている。終盤の母親も原作とは違って若く、意識的に布オムツを選択しそうな自然志向なキャラクターへ改変されていると感じた。

*1:後半のコンテは善総一郎監督。