法華狼の日記

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安倍晋三首相は靖国神社参拝の歴史も知らない?

ある時期を境として批判されるようになった時、その原因が批判する側にあると決まっているわけではない。そして急に批判が強くなった原因が批判する側にあったとしても、それだけで批判が妥当性を失うとは限らない。一つの国家が公式に抗議を行うと決める時に、ある程度まで意見を集約させたり情報を集める時間は必要だ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130424/plc13042414280009-n1.htm.htm

 安倍晋三首相は24日の参院予算委員会で、安倍内閣の閣僚らの靖国神社参拝に中国や韓国が反発していることに関し「国のために尊い命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前だ。わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない。その自由は確保している。当然だろう」と述べた。

 首相は韓国が反発していることに「靖国の抗議を始めたのは盧武鉉(政権)時代が顕著になったが、それ以前はほとんどない。なぜ急に態度が変わったかも調べる必要がある」と強調。

 中国に対しても「A級戦犯が合祀(ごうし)されたとき、時の首相の参拝に抗議せず、ある日突然抗議をしはじめた」と不快感を示した。

 また「歴史や伝統の上に立った私たちの誇りを守ることも私の仕事だ。それを削れば(中国や韓国との)関係がうまくいくとの考えは間違っている」とも語った。

韓国で政権交代が行われていることに注意をはらいながら、靖国神社参拝の状況に変化があることを忘れているのだろうか。
たとえば1970年代にA級戦犯が合祀されたこと、それに合わせて天皇の参拝が中断したこと、盧武鉉政権になる少し前の2001年に小泉純一郎首相が靖国参拝を始めたこと、2006年に昭和天皇の参拝中止理由を明かす富田メモが報じられたこと、そういった靖国神社をめぐる歴史を知らないのだろうか。
もちろん、本当は忘れているわけでも知らないわけでもないだろうが。

 靖国神社を参拝した麻生太郎副総理は「世界中で、祖国のために尊い命を投げ出した人たちに対し、政府が最高の栄誉をもって敬することを禁じている国はない」と指摘。古屋圭司国家公安委員長は「国のために命をささげた英霊に哀悼の誠をささげるのは当然だ」と述べた。

たとえばドイツ政府はヒトラー首相を最高の栄誉をもって敬しているのだろうか。ドイツは戦争責任を全てナチスに負わせて罪を逃れたという意見があるが*1、日本は過ちの切断処理すらできないのだろうか。

*1:実際にドイツが全てを切断処理で済ませているかといえば、むろんそういうわけではない。