法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

優等生プリキュア

来年から放映予定の『ドキドキ!プリキュア』の主人公が、過去シリーズと異なり、「優等生」というふれこみがなされている。たしかに視点人物が優等生らしいことは異例だ。
プリキュア:最新作のヒロインは異例の優等生 ビジュアルが公開 - MANTANWEB(まんたんウェブ)

ヒロインは大貝第一中学校の生徒会長でスポーツ万能、成績優秀な相田マナ(キュアハート)で、4人のプリキュアが登場し、絶対的な悪の存在・ジコチューと戦う。同シリーズはこれまで、勉強が苦手なヒロインが多かったこともあり、優等生がヒロインを務めるのは極めて異例。番組は13年2月3日午前8時半から放送を開始する。

優等生のプリキュアすら番組開始時では副会長にとどまっていた今年の『スマイルプリキュア!』の反動という気すらする。


もちろん過去シリーズも、複数いるプリキュアの誰かは優等生であることが多かった。『ハートキャッチプリキュア!』では、視点人物の花咲つぼみも比較的に優等生ではあった。
しかし過去の優等生プリキュアは高学年だったり、1人だけ浮世離れした家庭で育っていたり、視点人物から遠い存在であることが多かった。花咲もひっこみじあんであり、自分を変えたいと願う、消極的なキャラクターだった。
比べると『ドキドキ!プリキュア』の相田マナは、公式サイトのキャラクター紹介で「何事も体当たりで問題を解決」と紹介されているように能動的らしいし、「生徒だけではなくまわりの大人からもたよりにされている」という。他のプリキュアも「清廉で知性あふれる」や「お嬢様」といった表現がならび、憧れの存在として設定されていることがうかがえる。
http://www.toei-anim.co.jp/tv/dd_precure/*1
ただし、番組開始前に発表されている設定が作品の内容を正しく伝えているとは限らない。一種の宣伝文句のようなものだ。たとえば『スイートプリキュア♪』では、主人公同士の仲が悪いというふれこみだったが、実際に喧嘩していたのは初回くらいで、逆に序盤からは歴代シリーズで最も互いの距離が近くなっていった。
それでも気にかかるのが、「優等生」をリアルに描くことの難しさ。成績だけ良いならテストの点数や授業での正答率を見せればいい。しかし、頭が良さそうで、かつ性格が良さそうと感じさせることは難しい。アイデアの良さやフォローの巧さは、簡単に正解を見つけられるものではない。しかも優等生という印象は損なわれやすく、長い放映期間で少しでも粗を見せられない。
正直、あまり全体を通して脚本が安定しているとはいえない歴代シリーズから考えると、スタッフを一新しないと難しいように思える。


また、気にかかるのが敵の設定が「絶対悪ジコチュー」であるところ。これも歴代シリーズからの大きな変化だ。
たとえば歴代シリーズを立ち上げた鷲尾天プロデューサーは、映画『プリキュアオールスターズDX』の敵を「グローバル化」の象徴と位置づけ*2、個性豊かなプリキュアが対峙する構図を作ったと、『プリキュアぴあ』というムックで語っていた。
その映画の脚本を手がけた村山功も、『プリキュアシンドローム!』というインタビュー集で、「絶対」というワードへの忌避感を語っていた。自身で納得できる答えを見つけてからは、多用することにしたとも語っていたが。

*1:ところで、朝日放送では「正体不明」あつかいされているキュアソードの情報が大きく公開されているのだが、いいのだろうか。

*2:ショッピングモールという具体例を出していた。つまりプリキュアの敵はウォルマートやイオンだったわけだ。