法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

今敏監督がくさした制作進行の活躍?

アニメの制作進行への偏見を植えつけた原因って

出来の悪い制作進行に歪なあだ名を付けて、その出来の悪さをとことんあげつらって笑いを取る内容は、現在の我々が見たらどのように映るか。

(もちろん今監督にそこまで書かせるほど辛い現場だったんだろう、というのもあるが)

そのあたりの問題は、読んでいた当時にも感じた。制作進行を敵としてスタッフの士気を高めている様子や、話を盛っている様子もうかがえるが、そういう背景があるとすれば、より悪い。


ちなみに「ハマグリ」同様に批判されて罵倒されつつも、比べるとまだ時々は誉められている演出志望の「カマキリ君」だが。
http://www1.parkcity.ne.jp/s-kon/no10.html

 カマキリ君も口先で演出脂肪、いや演出志望というだけはあって、着任当初はやる気の断片くらいは持ち合わせていたようだ。前回の終わりで触れたが、プロモーション用の1〜1分半のフィルムを作ることになった。この時点では1カットたりともフィルムが上がっておらず、このプロモーションフィルムに向けてカットを選び原画チェック、作監、動画仕上げ、背景、撮影をするわけだ。まずは上がっている原画の中からプロモーションとして使えそうなカットを選びコンテを編集するのだが、当時新任のカマキリ君に気を使って私も言ってみたのだ。「俺も時間無いから、興味があるならやってみる?編集」
 ハハ、私も実に心のこもらない上っ面なことをよくも言う。するとどうだ、彼は休日を利用しコンテを切り貼りして一生懸命に作ってきたではないか、使えないコンテを。
 いや、それはともかく、そのやる気に私は驚きこれは良い人間が来た、と迂闊にも思ったものだ。ああ、見る目が無いというか、何故そんな早とちりをしてしまったのか。坊やだからさ。

しかし、どうやら現在もアニメ演出の仕事を続けているらしい。
それは成田歳法のことらしく*1、だとすれば吉成鋼パートが話題になった『DOG DAYS』第11話や、様々なBONES作品で何度もコンテ演出を手がけており、クレジットを信用するならば演出家として大成したといってもいいかもしれない。もちろん、追いつめられた状況で技量を求めず任された可能性はあるものの、『STAR DRIVER 輝きのタクト』等を見ると重要な話で登板している。
結果として、はてな界隈での話数人気投票で計測した時、2012年にTVアニメのコンテマンとしてベストテンに入ったりもした。
http://d.hatena.ne.jp/kuraltuka/20120101/p1

第10位の成田歳法さんは
STAR DRIVERの第16話「タクトノシルシ」と五十嵐監督と共同でコンテを切った
第22話「神話前夜」で票を稼ぎ、めでたくトップ10入りとなりました。

見てのとおり微妙な扱いではあるが、逆にいえば重要な話数の手伝いとして奮闘しているともいえる。定期的に仕事をしているし、どうやら今監督の「早とちり」は早とちりではなかったのだなあ、と今になって感じる。

*1:映画のクレジットを信用するなら、そもそも可能性があるスタッフは限定されている。http://www.style.fm/log/07_data/perfect.html「ハマグリ」とおぼしき早川光相が直前にスタジオ伽藍を設立して『カードキャプターさくら』の仕事を下請けし、『カードキャプターさくら』で成田歳法が動画を担当していることも、今監督の記述とつじつまがあう。