比較的に初期の原作からアニメ化。初期作品はかなり短いものが多いので、今回は前後半ともに大きくふくらませている。
Aパートは、テレビ撮影の描写を加えつつ、歩き疲れて迷子になって山をさまよう描写をふくらませた。
作中の女性タレントがあっかんべーする演技が、迷惑をかけているのび太たちに対するものに見えるダブルミーニング演出が良かった。歩き疲れている途中で山の美しさを描いて、直後にドラえもんが迷子になっている現状を告げる描写を際立たせたのも悪くないアレンジ。
Bパートは、むしろ原作で描写がなかったことが不思議な、アパートの木の中で迷子になる描写を補完。
迷子から助かってママのカレーを喜び食べるクライマックスで盛り上げ、ここで終わるかもしれないと原作を知っていても思ったがゆえに、原作通りのオチでも擬似的に驚くことができた。たぶん未読者にとってはさらにオチの衝撃が強かったろう。
しかも迷子になっている時、地味に手でつかんだところが崩れたり、外へ出るため天井を壊すことができたり、オチにいたる伏線を足している。原作では、「ごっこ」という秘密道具の名称しか伏線がなかった。
