法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』しつけキャンディー/ハメルンチャルメラ

今回は前後半ともに原作あり。ただし、どちらも道具の効果が物語展開と密接につながっているため、内容をふくらませつつ整合性をたもつには、根底にアニメオリジナル要素を入れなければならない。ちょっと描写を足すだけで大幅な全体の変更がせまられるという、興味深い回ではあった。


Aパートは、キャンデーをなめると、口にした迷信が現実に起こるという秘密道具が登場。迷信を利用して子供に教えるような心の豊かさが、科学によって失われたのではないだろうか……と、わざわざロボットのドラえもんが問題提議するところに含蓄がある。
「しつけキャンデー」という名前なのに、茶柱のような肯定的な迷信も現実化して首をかしげたが、よく考えると誉めて伸ばすことも躾の一つか。しかし、自慢しているスネ夫をたしなめるため「出る杭は打たれる」というアニメオリジナル描写は、ことわざの意味とずれがあったような。あと、閻魔様に舌を抜かれないよう、地獄へ助けに行くアクションっぽいオリジナル展開も、あまり尺を使っていないので中途半端な印象。
スネ夫の食卓にしれっと参加しているドラえもんのび太というオリジナルギャグ描写は面白かったので、その方向性をふくらませれば良かったかな。


Bパートは、吹くことで様々な存在を自動的に移動させるチャルメラが登場。
原作では遠くの山へ追いやってしまう機能しかなかった。しかし今回のアニメでは、中盤でオリジナル展開するため、行き先を告げる機能が付属。友人の家に物を送ったり、取り返したり。
しかし最後に原作通りのオチにするため、子供が「山へ」と目的地を告げる描写を足さなくてはならず、偶然に吹いてみただけという原作とは異なるニュアンスが生まれていた。
あと、アニメは中盤もふくめてのび太は人助けをしているだけで、金儲けに利用していた原作とは因果応報のニュアンスも異なる。