法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『聖闘士星矢Ω』第 1 話 星矢が救った命!甦れ聖闘士伝説!

畑野森生シリーズディレクター、吉田玲子シリーズ構成、馬越嘉彦キャラクターデザインで送る『聖闘士星矢』最新作。
アバンタイトルの素晴らしい作画は良かった。敵マルスのデザインで仮面ライダーメテオを思い出したり。OVAで交代していた声優も旧作TVアニメ版と同じに戻った。


しかし、女性ボーカルにアレンジされたペガサス幻想のOPを見ていて、クレジットされた名前に目が奪われてしまった。この枠はEDがなく、OPに声優やアニメーターまでクレジットされるのだが、そこに並んだ原画陣が凄すぎた。
馬越嘉彦や馬場充子や西位輝実の参加は、キャラクターデザイナーが決定した時から予想された通り。小松こずえや高橋晃や榎本勝紀や大塚健の参加は、この枠の伝統。林祐己や志田直俊は、東映が力を入れた時に登板するので不思議はない。加野晃も前枠で参加していた。
だが、最後に空白をあけてクレジットされた荒木伸吾と姫野美智の名前を見て、脳内が喜びと疑問符でいっぱいになった。昨年末に亡くなられたのに、どうやって参加することができたのだろう。よほど制作が進んでいたのだろうか。それとも『聖闘士星矢』シリーズで活躍し続けた結果の名誉的なクレジットなのだろうか。いや、これは遺作なのだろう。
その後に展開される物語も作画も良かった。ベテランアニメーターの遺作として充分な価値のある内容をともなっていたと思う。しかしそうした物語の良さも、このアニメーターの名前には印象が負けてしまった。それほどの衝撃だった。


それでも、内容についても少し書いておく。
まず、父親的な存在が不在となり、本編では厳しい女性と優しい女性に導かれる少年主人公という構図が印象に残った。女性聖闘士はマスクを義務づけられるという神話的な設定を継続しているだけに、現代的目線と神話的男尊女卑の齟齬が、興味深い葛藤を作り出していた。
それまで主人公を冷徹に指導していたシャイナが、星矢を批難した主人公に対し、初めて感情の片鱗を見せたところも、旧作を見ていた者*1として見所だった。小山茉美のドスが入った演技も聞きごたえある*2
コスモという能力の凄さにとまどったり、沙織を救うために炎に焼かれながら手を突き出す主人公の、幼さと前向きさをあわせもった性格も好印象。いかにも今後の成長を予感させる。

*1:さほど熱心ではなかったのだが。それだけに、荒木伸吾クレジットにここまで心奪われるとは、自分でも意外だった。

*2:比べると、中川翔子が演じた沙織は、やはり力不足か。