法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

人間は捨てる時のことを考えて買い物ができない。原発も同じだ。

素晴らしき哉,電気工学的人生!: 原発1基分をまかなう太陽光発電システムは

Q.原発1基分の発電電力量をまかなうためには,
太陽光発電はどれくらい必要か.


少し試算してみたいと思います.

全体では,467万kWの設備容量分に対して
バッテリを用意するとすると


23,350億円+150万円 * 116.75万軒 = 40,862億円


です.4兆円近くのコストが必要となります...

原発1基が4000億円程度で建設されることを思うと,
発電量に対して太陽光発電システムは
多大な設置コストがかかることがわかります.


今後,太陽光発電は導入を進めなければならないので,
なんとか解決策を模索していかなければなりません...
技術的には解決できても,コストが見合わなければ,
導入は進まないのです.
今後は,太陽光発電の効率向上,二次電池の性能向上と
価格低減が望まれます.

三浦友史準教授自身も「少し試算」と書いているように、ざっくりした計算ではある。あくまで設置費用であって、運用時にかかる燃料コストやメンテナンス費用などは計算に入れていない。
しかし解体費用においては、太陽光発電に比べて原子力発電のコストが上がる。一応、原子炉を廃炉するだけでなく廃棄物処理までふくめても設置費用と同額くらいという試算が出ているので、必ずしも太陽光発電が比較的に優位となるわけではないが。
原子力発電所の廃炉コスト

また、2002.3.31.の朝日新聞の「原発「後処理」費用、30兆円にも 電事連の長期試算で」

この記事を元に考えると、約50基の原子力発電所の廃棄物を含めた処分費用が約26兆6000億円ということは、1基当たり「5320億円」。これには運転中に発生する廃棄物処分費用も含まれますが、原子力発電所廃炉コストは「数百億円」ではすまないのは確実です。

「1kW時あたり2円弱」ということは、必ずしも高額とはいえないのですが、費用がこれまではっきりせず、印象としては「どうもいい加減?」という感じがあります。

しかし捨てる時の費用や手間が価格に反映されていないため、導入時の判断を見誤ってしまう問題を感じなくはない。最近の家電製品は廃棄時の費用が価格に反映されていたりもするが、原子力発電所はそうではない。しかも大震災がなくても今後10年に廃炉が集中するので、負担が一時的に重くなる。
asahi.com: 原発の廃炉費用、想定より3千億円増 電事連が試算 - サイエンス

 廃炉の際、コンクリートや金属片など放射性廃棄物が大量に発生する。追加費用のうち約1000億円分は、放射性物質と認定する放射能濃度を従来よりも下げ、廃棄物量が増えることに伴うもの。処分方法を埋め立てから再資源化に変えたことでも処理単価が大きく膨らみ、全体では、現在1基あたり約550億円の費用が、更に50億〜100億円程度増える見込みとなった。上積み分を、企業会計や料金原価へどう反映させるかは、今後議論する。

 廃炉は10〜20年ごろから本格化するが、巨額の費用が一時期に集中するため、利益の一部を事前に積み立てる「廃止措置引当金」が設けられている。現在の想定額約2兆6000億円に対し、原発を持つ電力会社は約1兆1000億円分をすでに計上済みだが、追加分は引当額を上積みすることになる。


なお、エントリタイトルは適当な文言の後に「国家も同じだ」とつけくわえれば、たちまち名言に早変わりするというネタの応用だ。
しかし新しい名言を作らなくても、朝三暮四という言葉も古くからある。かくいう私も買ったままパッケージも開けていないDVDが山とあり、中には多数の映像特典付きで高画質化された廉価版が発売されている作品もふくまれている。……それどころか本棚を見返してみたらパッケージを開けていないVHSビデオまであった。