アニメオリジナル中編で描く、のび太の入学式。脚本は相内美生。
小学館の雑誌で募集した小学校入学式エピソードを入れ込んでいるが、それは冒頭の文集で早々に処理。後の、のび太とジャイアンのドラマにからんできたりはしない。その意味ではジャイアンのエピソードが伏線として意外な展開を見せたのは良かったが、校舎に置いた目覚まし時計が体育館まで響いて非常ベルに間違えられること自体にリアリティなさすぎる。せめて、入学式を終えて教室に戻ってきた時に目覚まし時計が鳴ったとか、他の選択肢もあったのでは。
ジャイアンの「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」という有名な台詞がどのように生まれたか明かされると予告されていたが、それも初めてのび太に対して用いた場面を描いただけで、その言い回しが生まれた理由は不明のまま。せいぜい小学校に入学したばかりの幼さだから、うまい言い回しができなかったという程度の意味合いしか感じられなかった。
どちらかというと、のび太の幼い言動ひとつひとつの愛らしさを楽しむ回だったか。目の前の興味にとらわれて、いそいでいる時だというのに「あした天気になあれ」を実行してしまう幼稚さは、けっこうリアルな幼児をとらえている。この「あした天気になあれ」があるから、後半で街をさまよう時の行為にも説得力が出る。