法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『こばと。』雑多な感想

良くも悪くも作画が終始安定していた。手塚プロダクションが請け負っている通常回と、それなりに著名アニメーターがそろっていた回とで大きな違いがない。もっと出来に波があったほうが面白味があったかな。
面白かったのは演出。松尾衡が担当した第十一話の他回と違うカット割り、中村亮介が担当した第十九話の作画リソース割り振り、浅香守生らしい第二十三話の縦FOLLOWする俯瞰カットや長回しによる情感盛り上げといったところが印象的だった。


物語は、人間世界について知らない少女が毎話ゲストキャラクターを癒していくというシンプルな構成。特に話をひねっていたわけでもないが、様々な事件を通して少女が人間を知り、人間が他人を知っていく作品フォーマットは悪くない。
毎回の事件がおとぎ話のように解決していきながら、シリーズ全体を通した社会的な問題は単純なハッピーエンドにならない匙加減も良かった。
具体的に言語化されていなかった少女の願いが終盤で「呪い」に化し、物語の流れで描かれ育んできた幸福を奪うというクライマックスの転調、その後に少女以外へ視点を変えて結末を迎えた最終回もまずまず。