法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『バトルスピリッツ 少年激覇ダン』第44話 緑の暴風がやむとき

ロボットアニメなのにロボットが出ていない回で本筋が進んだ、みたいな。
カードの力が実体を持ちうるファンタジーな世界観なんだから、カードバトルを魔法対決に仕立てることもできただろうに。どうせなら強力すぎて現実のバトルでも禁止されたという「大天使ミカファール」を使うとか、現実なら反則な技を異界王が使って子供の反面教師にするとか、いろいろとカード販促アニメならではの展開にできただろうに*1
かなり演出や作画が良く*2、魔法合戦のエフェクトや地球を覆う大洪水はファンタジーアニメとして見れば良い出来。冒頭の「見えざる政府」みたいな陰謀論描写も、一周回って面白い。だからこそ、このアニメでやるべき描写かなと首をひねった。
今回の脚本はシリーズ構成の富岡淳広なので、たまたま参加した脚本家一人が暴走した結果でもない。最近は少年向け異世界冒険アニメが少ないし、まともなカードバトルアニメは他にもあるから、この路線であえて周囲と差別化しているのかもしれないが……*3


あと、異界王については、ここまで凄まじい力と矮小な思想を持つラスボスは珍しすぎて、逆に面白い。普通なら慢心による油断で主人公に負けたりしそうなところ、逆に卑怯な手段を最初から使っていて反撃から逃げ切る。『銀河英雄伝説』のトリューニヒトをラスボスに設定したようなもの、と考えるべきか。
ここまで来たなら下手に“実はいいひとだった”みたいな描写を後づけせず、強い外道のまま最期をむかえてほしいくらいだ。

*1:カードバトル以外で勝負をつける、というところが最も反面教師ではあるのだが。

*2:作画監督は石川てつや。

*3:id:METHIE氏が怒っているかなと思ったら、その通りだった。率直な子供向け販促アニメを期待していると、確かに外れ回だったろう。http://d.hatena.ne.jp/METHIE/20100725#p1