法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

GYAOで『宇宙ショーへようこそ』冒頭22分無料配信、他

地上波でも放映されているが、GYAOでも無料配信されることとなり、回線環境が整っていれば全国で見られるようになった。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00548/v09874/
正直な感想として、映画としては微妙。あくまでOVAの延長で作っているという感じ。引いた構図で長回しをして、台詞を抑制すれば“映画っぽく”はなるが、映画になるとは限らない、という印象を受けた。
作画は既存の宣伝で見られた映像より良好なくらいで、キャラクターの芝居が極めて細かく、煽りや俯瞰でも人体の骨格が破綻しない。しかし延々と細かい作画が続くので、全体の印象としては逆に単調な感もある。冒頭の戦闘にもう少しボリュームを足すか、穏やかな日常シーンでも一度アクションを起こすとか、変化をつけてほしかったかな。


GYAOでは『星銃士ビスマルク』を視聴する在宅アニメ検査員の仕事も終わらない。上妻晋作参加回やアニメアール回はもちろんだが、池上裕之作画監督高橋資祐*1参加回もなかなか映像的な見所がある。
シリーズ構成は後から重要な設定が出てきたりしてどうしようもないが、まあ単発の娯楽アクション映画としては良い感じに頭が悪いので、気楽に作画の良さを味わえて、これはこれで悪くない。


『ずっこけナイト ドンデラマンチャ』も配信中。伝説の金田伊功回だけ見たが、少し期待しすぎていたかな。金田系作画は本人もフォロワーも、もっとボリュームのある素晴らしい仕事が無数にあるから、この作品はその中の一つといった程度。内容には、後年のナンセンスギャグアニメが至った境地をこの時代に到達していたという面白味があったが。


映画ではドキュメンタリー『ザ・ムーン』や近年の戦争映画『セントアンナの奇跡』の配信が目を引く。特にスパイク=リー監督による後者は目を通しておきたいと思っていた作品なので嬉しい。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00657/v09858/
それとコソボ紛争を描いた『メタル・オブ・ウォー』という作品も配信されているが、なぜか異常に評判悪いな。当事国の一方が制作したことによる偏った視点が、敵をひたすら矮小に描くという最悪の形で作品に反映されてしまっているらしいが……


GYAO以外ではテレビ東京あにてれシアターで、なぜか『閃光のナイトレイド』第10話だけが唐突に無料配信されている。主人公達の中から離反者が出るという重要回らしいが、ここだけ見せられても感慨がわきにくい。
これなら以前にWEBのみで配信された第7話の方が、番外編らしく主人公達がほとんど出ずに、良い感じで当時の空気を描いていて*2はるかに楽しめたな。

*1:同じスタジオぴえろ作品『BLEACH』の仕事は、影を克明な斜線で表現しているところが印象的だった。なぜか長く名前を見ないと思っていたが、映画第2作『劇場版BLEACH The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸』の製作中に肺癌で亡くなっていたと今知った。かなりの高齢ながら、アニメーターとしての仕事は最近の作品にも十分ついていけていたと思う。

*2:視点人物である作中の記者が日本の戦争が正しいことを信じて疑わないといった、異なる社会の異なる思想をきちんと描けていることに感心した。これでは確かに地上波配信は難しかろうとも思ったが。