NHK制作、国家から認められない原爆症患者を描いたドキュメンタリー。原爆症認定訴訟から、様々な放射線障害の研究まで。
原爆症と認定されない障害が、やはり放射線が原因だという仮説がいくつか紹介されているが、どれも可能性にとどまり、現在の訴訟にどれだけ寄与しうるのかが難しいところ。学者としてはそういう態度を取るしかないのはわかるのだが。
国が認定する放射線量は砂漠核実験を基にしていて、廃虚や人体から発生する放射線を考慮に入れていないという指摘も。これは先日の『NHKスペシャル 核クライシス第1集』*1と繋がっていて興味深い。
他、原告団代表が自身の症状を原爆によるものかどうか自身でも迷っている苦悩や、そういった症状を不明確な状態まま長期間放置したさまざまな存在への批判が印象に残った。
社会から打ち捨てられた人々はここにもいる。
*1:平面における核爆発で衝撃波はは一度通りすぎるだけだが、都市部の核爆発では衝撃波が建物に反射されて被害を増すという実験が紹介されていた。