法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

Apeman氏らが行っているのは事実認定作業ではない

『「南京事件」日本人48人の証言』 - Apeman’s diaryのコメント欄でChie氏が指摘した「学界の外では人文学者の権威ってあまりないんですねえ。これが理科系の議論、あるいは経済学や法学のような社会科学の議論なら、非専門家による公開討論で事実認定をしようなどというマヌケな話は冗談でも言えないと思うのですが。」……は全くその通りで、歴史等の学問は邪馬台国論争で見られるように、素人でも思いつきで何をいってもかまわないだろうと一般人からすらも思われているふしがある。
実際、表現の自由がある日本では、何を言うのも基本的に自由だ*1。ただし、その素人の自由な発言に説得力があるか、正しいと一般に認めてもらえるかは、本来は別な話だ*2
発言が自由だからといって、トンデモな発言が通説と同等の価値になるはずがない。
(参考トンデモ「研究」の見分け方・古代研究編


Apeman氏らが行っているのは、そのようなトンデモ発言が通説から見て明らかな間違いだと示す作業だ。Apeman氏らが「非専門家によるネット討論で事実認定をしよう」としているなどとNINGENSAMA氏が思い込んでいるのは、Apeman氏らが主張している範囲の主張は公の学問の場で事実認定*3されて、論争としておおむね決着していることを知らない*4からにすぎない。

*1:でなければ私もここでアニメ感想等が書けるはずもない!

*2:また、名誉毀損で訴えられかねない場合もある。さらにいえば、トンデモ発言をくりかえす側の方が訴えられかねない場合が多そうに見える。

*3:より正確には、妥当な通説と認定されている、というべきか。人文系の学問が理数系の学問よりは事実と認定することが難しいのは確かだろう。単純に考えても、たとえば実験で再現することすら不可能な場合が多い。

*4:もしくは決着していると認めたくない。