法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『スマイルプリキュア!』第5話 美しき心!キュアビューティ!!

〜コネメーターのいない池畠はただのAHO〜
それはいいすぎとして、もともと作画枚数制限の厳しい東映作品では良い印象が少ないとはいえ、ずいぶんと演出家として枯れちゃったなという気分。連名で演出した大塚SDのツイートを見ると、今回は制作時に色々あったようだが。
屋内ならではのアクションで、高低差を表現していたりしていたのは面白かったが、誰の手柄かわかりにくい。


新登場プリキュアの印象づけをする回であり、真実の敵に気づくという描写でビューティを立てるため、他の全てをアホの子として描く。……いや、私個人も途中でずらっと横並びになったカットでようやく気づいたし、基本的にプリキュアはアホの子が多いのだけど、まさかキュアマーチまで考えてもわからないからと動くキャラクターとは思わなかった。実体には影があるのではと誤推理したりと、誤誘導する描写があっても良かったかも。
紙芝居的な読み聞かせで作品のモチーフをいかしたり、そのおかげで魔女が登場した時の一般人の反応が自然だったりは良かったが、プリキュア加入の流れはこれまで通りで新味少なし。

『特命戦隊ゴーバスターズ』Mission1 特命戦隊、集結せよ!/Mission2 13年前の約束

新エネルギー技術で発展した新西暦を舞台とする、小林靖子メインライターの新戦隊。
小林靖子シリーズ構成作品は、たいていガジェットやメインキャラクターの少なさが特徴。それがアニメ作品だと物語の薄さといった印象を生みやすい。しかし幼児向け特撮作品では、たいてい商品化のためにアイテムが多くなり、俳優の演技やロケ地の風景等で情報量が多くなるためか、適切な脚本密度と感じられ、設定の背景や整合性や連続性を重視する長所が際立つ。
今回の戦隊も、メインのヒーローは3人だけ。組織的なサポートがある設定でも、顔がある存在は司令官とオペレーターのみで、他は役割ごとにモブが登場する。敵も幹部が一人だけ。しかしヒーローごとにマスコットが相棒としてふるまい、かけあいで物語を進めていくから、状況は理解しやすい。
敵がエネルギーを目あてに基地へ攻めてくるという基本設定は、『マジンガーZ』で有名なくらい古典的だが、登場人物や設定を説明するための余裕を生んでいて、今のところは良い感じ。今後にどのように話の幅を広げていくかは見当もつかないが。
ロボットは純粋なメカから変形するタイプが売れにくいという経験則にならって、動物形態も存在するが、車両形態で動いている印象が強い。その動物形態も、かなり印象は無機質。発進時や待機時も、古典的なワンダバを現代の技術で作りつつ、人間が整備し動かしている機械として見せてくれた。


特撮は設定の要求するリアリティの水準によくこたえていて、クオリティはかなり高め。
カメラ位置が低めで巨大感を表現し、ミニチュアはオープンセット*1を多用して光源を自然に、足元の作りこみも細かく、着地するだけで土砂が舞い上がり、手抜きして特撮の粗を見せるような気の抜けたカットやデフォルメ演出も避けている。ミニチュアの数こそ多くてもスタジオ撮影が基本のウルトラシリーズに比べて、質感で優っていると感じた。
予算を抑えつつ特撮クオリティを上げている様には平成ガメラも思い出す。そういえば東映特撮研究所は『ガメラ3 邪神覚醒』の過去回想パートの特撮を外注で請けていた。白組制作のアクション映画『リターナー』でもミニチュア特撮で協力したりと、演出に要求されればリアリティの高い特撮も作れるのだ。
ただし、過去の戦隊は予算がある序盤に特撮リソースをつぎこんでおり、通常回では特撮専門ではない本編の撮影スタッフがロボ戦も担当することが多かった。シリーズを重ねるにつれて徐々に通常回にも特撮専門のスタッフが関わるようになってきているが、いつまで序盤のクオリティが続いてくれるか。期待しすぎないようにしておこう。

*1:屋外でミニチュアを並べて撮影する手法。天候に影響されやすいが、大規模かつ様々な手法の爆発が可能だったり、太陽光のおかげで自然に見えたりと利点も多い。過去のスーパー戦隊でも、本編班の特撮ではオープンセットと併用することが少なくなかったが、最近は途絶えていた。東映公式サイトにもそのむねの記述がある。http://www.toei.co.jp/tv/go-bus/story/1198164_1966.html「今回は巨大ロボ戦を大フィーチャーするという前提のもと、佛田監督の陣頭指揮で、随分久々の野外ロケ撮影が敢行されました。天候にも恵まれ、強い太陽光の下でしか実現できない、空が映えた美しい巨大戦を、見事に作り上げられました。これもう今後越えられないかも、という前向きなんだかどうだか分からない感想を持ってしまった。」

『海賊戦隊ゴーカイジャー』雑多な感想

この種の記念大作、それも世界観が独立していたはずの過去シリーズを統合しながら、一本のまとまりある作品として完成度が高く、同時に世界観を横断する大作でしか生み出せない魅力をもった作品というのも滅多にない。


海賊版という言葉になぞらえてか、スーパーヒーローの主人公を海賊にして、きちんとアウトローらしい性格に設定したことが勝因の一つ。正義感の強い過去シリーズの主人公とキャラクターがかぶらず*1、相手を食うことなく互いに魅力を際立たせる。幼年向けヒーローで5人それぞれ異なるベクトルでアウトローという個性そのものが独立した作品としても面白い。レジスタンスという立ち位置によって、巨大組織に少人数でいどむスーパー戦隊の基本フォーマットを説明づけたところも地味に好印象。
ほぼ全員が戦いなれしているおかげで、台詞での説明を抑制しながらテンポ良くアクションを展開できるという効果もあった。ちょっとした合図で武器を交換して状況にあった殺陣を披露するという初回で示したアクションのテンプレートが見事にはまった。
いったん最終回までに普通の戦隊らしくなったかと思えば、最後の最後に子供を大勢登場させてまで露悪ぶりを強調して去っていくところも凄い。善行を最後まで目的としなかったため、なぜ他人を救うのかというテーマをかすめていたところも面白かった。


過去作品の俳優も相当数が登場し、記念大作らしい満足を与えてくれた。良くも悪くも俳優を続けつつゲスト出演が依頼できた者が多いのだろう*2
平成ライダーでは主役がシリーズごとに少ない上、メイン俳優が相当の売れっ子となっていたためか、同様の趣向の『仮面ライダーディケイド』では過去作品とは異なる俳優が仮面ライダー役として登場していた。
過去作品から俳優まで連続しているため、いくつかわだかまりを残して終わった過去作品へ、後日談として決着をつけたのも、過去作品のファンには嬉しいサービスだろう。もちろん当時の作品の雰囲気やテーマもきちんと尊重していた。

*1:中盤の新戦士には、露悪的なキャラクターやライバルキャラクターがいるが、逆にかぶりそうなら出演させなくてもすませられる立ち位置である。また、既存のキャラクターが悪ぶっている『ゴーカイジャー』は逆に新戦士の正義感が強いという逆転の構図が楽しめた。

*2:永井大や照英やケインコスギはさすがに登場しなかった。映画でのカメオ出演や、声の出演くらいはあるかと期待したのだが。

『機動戦士ガンダムAGE』第21話 立ちはだかる幻影

次回予告でのガンダム大破は、シミュレーションのものだったか。上官がいいところにつれていくと語ったから、てっきり色街の類いかと思ったよ。前主人公のガンダムと現在のライバル機が現主人公のガンダムを圧倒するシチュエーションは良かったが、あくまで繋ぎ話かな。
フリットが登場して、威厳のあるキャラクターっぽくふるまい周囲もそう受け止めるが、主人公時代の描写が子供のまま終始したので、違和感が大きい。フリットが大人になるまでを描けないなら、やはりアセム編だけで物語るべきだったんじゃないかと思えてならない。