風景画ばかり描いていた母の、珍しく人間を描いた自画像について調べてほしいという依頼がくる。画家の名前はクリスティーナ・ピポポヴィッチ文江といい、30年ほど前に人気があったという。
その体をくねらせ笑みを浮かべる縦長の自画像について、文江は「最高の幸せ」と呼んでいた。依頼人は娘として、あまり母とのいい思い出をもっていなかったのだが……
第7話*1と同じ佐多賢人脚本*2で、家族の記憶についてひもといていくゲストキャラクターのドラマが展開される。
ここ最近のシリーズがメインキャラクターの連続ストーリーを重視してゲストキャラクターのエピソードを少なくし、1年間の放送をもてあまして間延びしがちだったことを思うと、やはりこのような一話完結のエピソードをつみかさねるフォーマットのほうがこの放送枠には向いている。探偵の謎解きドラマにすることは、そのようなゲストキャラクターのドラマを多様に作れる良さがある。調査の過程で街のさまざまな人と出会う描写も楽しい。
絵の真相については、そもそも人間の心理を完全に解き明かすことなど不可能という問題があるところ、絵の解釈について大きな誤解があることをひとつ指摘して、謎解きとして成立させた。回想で文江がソファで横になっているような伏線描写が多すぎて、本当は横になっている姿を描いた横長の絵ということはあからさまではあったが、絵をもつ手の跡という手がかりなど証拠をそろえているので納得感はある。そこから依頼人が記憶をほりおこして、文江のどのようなシチュエーションを描いた絵なのかというところから、母娘のつながりを回復するドラマを描ききった。
幼い視聴者に30分枠で謎解きに参加させるくらいの難易度の謎をつくることは難しいと感じたが、オリジナルストーリーの低年齢向け子供向け作品としてはがんばっている。
敵幹部のゴウエモンの強奪をふせぐため絵をコピーしたり、それを森亜のアイデアを聞かされてゴウエモンが攻略に成功したり、ガールズアクション部分でもミステリ的な駆け引きを入れこんでいる。やはり作戦としては子供向けアニメレベルではあるが、攻略につかう小道具をきちんと絵で先に見せているので、見ていて唐突感がない。プリキュアに変身後の攻防はやや力押しではあったものの、アクション作画が良かったので見ごたえはあった。
明智がおぼえている母の味を小林が聞きだして勇気づけるような時間移動関係の大枠の描写もあれば、ぶっきらぼうな接客をしていたジェットが笑顔で接客してみるところに明智と小林がはちあわせする楽しい息抜き描写も多く、見どころが充実していた。
*1:『名探偵プリキュア!』第7話 大変!学校が迷路!? - 法華狼の日記
*2:公式サイトのクレジットは前回とまったく同じなので、担当者のミスだろう。 第10話「絵の謎を解き明かせ!」 ストーリー(あらすじ)|名探偵プリキュア! | 東映アニメーション