法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』のび太のクラゲ水族館/実用ミニカーセット

 ひさしぶりに前後とも新作。前回*1は8月3日か。
 細かい種類が登場する秘密道具を表現するため、前後とも3DCGを多用しているところが目を引いた。


「のび太のクラゲ水族館」は、しずちゃんに急用が入って、楽しみにしていたクラゲショーに行けなくなったという。それを聞いたのび太は、ドラえもんと協力して野比家でクラゲショーを用意するが……
 綿種アヤ脚本、森山瑠潮コンテ演出、篠塚滉平作画監督という若手スタッフによる完全アニメオリジナルストーリー。「クラゲ観察キット」という専用の秘密道具をオリジナルで出すのは好みがわかれるところだが、デザインはけっこう藤子F作品っぽいシンプルさで良い。
 成長するクラゲは手描き作画でていねいにメタモルフォーゼを描写し、浮遊するクラゲは3DCGでアニメになじめる適度なディテールで複数種類を描きわける。エチゼンクラゲの巨大さや、カツオノエボシの危険性など、子供向けの学習要素も多くて好奇心が刺激される。
 物語はクラゲが増えすぎて母親に廃棄を命じられ、しずちゃんの帰宅時刻に間にあわないというシンプルなものだが、最後に見せる情景の美しさはアニメ作品ならでは。台詞のない情感があふれるカットを重ねて見ごたえがあった。先にクラゲと月でマッチカット演出をしていたので、月に向かって飛んでいく無数のクラゲに映像として統一感もある。


「実用ミニカーセット」は、暑い中にアイスを食べたくなったが、暑すぎてのび太もドラえもんも外に買い物へ行きたくない。そこでドラえもんがさまざまな働く車を出す秘密道具をつかって……
 後期原作を2005年以降に初アニメ化。小倉宏文監督がコンテをつとめ、吉田誠が作画監督。演出の大江峰生はあまり見ない名前だが、新人なのだろうか。
 物語は基本的には原作どおりで、とにかく映像のディテールを分厚くして、楽しさを引き出している。もともと物語は特に失敗もない単純な構成だが、とにかく細かく実用的なゴッコ遊びに徹底しているからこその良さがあった。小倉コンテ回では珍しく止め絵が少なく、ドライブを楽しむイメージシーンくらい。
 ミニガレージ型の秘密道具から出てくるミニカーを原作どおりリアルなディテールで動かすために3DCGを活用。免許をとれない父親が運転を疑似的に楽しむ場面では、スクリーンに投影される実景を3DCGの背景動画で処理。アセットを使用しているにしても、この作品でここまで多くの3DCGが見られるのは珍しい。
 単純に3DCGにたよっているだけでなく、ドラえもんが見せる五百円玉は元号まで書かれて、冷凍車内のお釣りもしっかり固定。父親が運転前に前後や動作を確認する手続きも細かく描写される。それぞれ、ミニカーを実際に生活で活用している雰囲気と、父親のめんどうくさい性格がよく表現されていた。結末の河川敷のゴミも手描きで細かく描写され、処理する必要性をビジュアルで表現できている。