女性があつまる対テロ組織「C.A.T.」が、スイスでおこなわれるサミットの護衛をおこなうこととなった。ひらけた雪山を舞台に、どのような手段でテロがおこなわれるのか、捜査と対策をすすめるが……
新谷かおるの漫画『砂の薔薇』を1993年に単巻完結するオリジナルストーリーで中編アニメ化。タイトルの「砂の薔薇」は「デザート・ローズ」と読む。
配信はされていないがDVD化されており、プレミア価格になっていないので視聴は難しくない。何度か有料放送もされているようだ。
DVDブックレットの原作者インタビューによると、以前に連載した『ジャップ』が諸事情で挫折した傭兵部隊というアイデアをつかい、多国籍な女性による華やかなチームアクションを成立させる基礎にしたという。
原作は未読だが、男好きの女性が集まってワチャワチャかしましく百合っぽさがないところが逆に今では新鮮。その意味で『ダーティペア』も連想させるが、こちらは良くも悪くも下品な雰囲気がなく、変装したメイドなどで色気は出しても全体的にどこか上品。
制作会社は『クレオパトラD.C.』*1の実制作を担当したJ.C.STAFFで、キャラクターデザインの結城信輝などメインスタッフが何人か抜けつつ、サブスタッフが昇格するかたちで引きついでいる。
こちらも原作者が脚本を提供して、映像に映えるカタストロフなテロのアイデアを投入し、それにしっかりアニメーターが応えて動かしていた*2。あくまでフィクションとして派手なテロを描けた911世界同時多発テロ以前ならではの、エンタメにてっした中編アニメとしてまとまりがいい。
*2:洋画を意識した作風なので、こちらのブログが以前に特集していたストッキングをあげるアニメーションの先駆的な事例もあった。 sajiya.blog89.fc2.com