ロビエト連邦におとずれた銭形が、空港で爆破テロに巻きこまれる。その犯人の姿はルパンそっくりだった。ロビエトとアルカ合衆国がいったんの和平をむすぼうとするなか、さらに爆破テロが続発する。ルパンを抹殺しようと動くロビエトの官憲に、警察は殺しが仕事ではないと銭形は訴えるが……
2025年のWEB配信アニメ。小池健がキャラクターデザインと監督をつとめ、合計約1時間の前後編で『ルパン三世』を映像化するシリーズの4作目。
長編アニメ映画の完結編『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』につづく前日譚としてつくられたWEB配信作品だが、単独で完結しているし映像も物語も前作*1より充実している。
まず。劇場版『名探偵コナン』のようにド派手な爆発が連続するだけでも娯楽作品として見ごたえがある。その爆破場所もモデルがありつつ架空国家なので名所旧跡を破壊して印象づけることができないかわり、主人公の銭形をさまざまな角度で立ちあわせて変化をつけ、ひとつひとつ物語における意味をもたせている。敵も「ルパン」なので変装能力が高く、できるだけ意外なタイミングで爆発させようと工夫しているところも良い。
爆破エフェクト作画やメカニック作画は基本的に手描きの一方、前作から導入された3DCGモブは前面に出しているが意外と違和感がない。目鼻が存在しないマネキンのようなモブなのに、線の太さや色彩をうまく調整しているのか、驚くほど手描き部分となじんでいる。
物語については、警察官たる銭形に殺人ができるのかとくりかえし問うテーマは、ちょっと前提に無理を感じたのが正直な感想ではある。もちろん裁判にかけるよりも現場で銃殺することを優先するのは普通の警察ではないと思うが、さすがに今にも人命を損なおうとする凶悪犯が相手ならば殺してしまう可能性を考慮してても撃つことを選択するのが警察だろう。そもそも泥棒でしかないルパンを死刑にしようとする銭形像もシリーズでは珍しくない。
しかし、「正義」を問う物語として、現代に語るべきメッセージを臆さず出しているとは思えた。安易で典型的な正義の相対化をルパンに口走らせているが、対抗して真実を探求して暴いて殺さず法の裁きをくだそうとする銭形を魅力的に描けている。国家間の和平を壊す権力者を裁こうとする努力も、圧力に負けずプーチンやネタニヤフを有罪と断じた国際刑事裁判所の裁判官を思わせる。
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米国、ICCの裁判官4人を制裁指定 ネタニヤフ氏逮捕状など理由:朝日新聞
舞台となる国家ロビエトはソ連とロシアの印象がいりまじっており、良くも悪くも冷戦時代のポリティカルサスペンスの敵国をそのまま引いたような印象はあるが、だからこそ敵対して批判しながらも悪魔化せず尊重する銭形が好ましかった。
