原作やコミカライズは未読。内容は主人公が圧倒的な能力をふるうだけの単調な異世界転生チートで、映像も安っぽいと思いつつも惰性で見つづけていたが、第6話の戦争展開で少年少女が参加するところで拒否感が出てしまった。
少年兵の視点で戦争に参加するドラマなら飲みこめるが、成人女性として子供を戦争に参加させる主人公の視点で視聴するのはきつすぎる。
いくら敵味方の戦死者を出さないように主人公が行動しているとはいえ、周囲より幼い少女の自己犠牲をまねきかけたりもする。
そもそも、この話にいたるまで貴族社会や巨大宗教を批判して拒絶する、いわゆる現代倫理観無双をやっておきながら、開戦前から一方の国に肩入れしている時点できついものがあった。その肩入れの恣意性を自覚的に描いているわけでもない。
開戦の経緯は、主人公のチート能力で出したポーションを、軍事国家とはいえ戦端をまじえているわけでもない帝国が利用できないよう消費期限を設定して、挑発された帝国が宗教国家と協力して侵攻してきたというもの。もちろんそのような挑発で侵略した軍事国家にしても正当性はないが、かといって超越者としてふるまう主人公の選択がうみだした状況であるように描かれているのも事実。倫理観の発露がまだらで恣意的すぎる。物語の都合と考えると不自然すぎるし、かといって一貫した思想にもとづく選択だとすると主人公の人格に問題を感じざるをえない。
戦争展開そのものにも説得力がない。侵攻してきた敵軍が疲労状態で圧倒的な兵力に対峙したからといって、自暴自棄な突撃をおこなわなずに降伏したことは幸運にすぎない。