法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season24』第14話 薔薇と髭の告発

 アパレル会社の男性社員が殺害された。その社員が最期に電話をかけていた弁護士を一課や特命係が追及するが、会話内容は守秘義務だとして何も答えない。その弁護士はヒロコのゲイバーと同じビルに事務所をかまえて、弱者のために奮闘していた。
 そしてアパレル会社で社員は自爆営業に苦しんでいたことから、男性社員は公益通報をおこなおうとしていたのではないかと推測された。さまざまな女性社員と男性社員の関係性をひもときながら、杉下右京は真相にたどりつくが……


 児玉頼子脚本。ヒロコを中心とした人間模様のなかで、社会悪を告発しようとしていた人々の挫折と連帯が描かれた。
 選挙を利己的にもてあそんだ人々の非道もあって2025年に改正された公益通報者保護法にも言及があり、突然の解散総選挙のさなかに放送されたことに偶然ながら寓意がある。


 事件そのものはシンプルなのに弱者を保護するために情報が隠されるところが謎解きドラマとして面白く、現時点の強化された法律でも公益通報者を充分に保護できないという事件の背景が社会派ドラマとしての深みを生む。さまざまな事情から水商売を副業にする女性たちと、その連帯を偏見をもたずに描こうとする。
 知らないことを口走ったことが証拠になるという古臭い手法の逆転で、知っているはずのことに言及しないことが手がかりになる逆転もミステリとして良かった。
 何より、一見すると弱々しいのに依頼人の秘密は絶対に守る吉澤大吾弁護士の強靭なキャラクターが良かった。捜査においては障害になる強靭さだが、それについては杉下はきちんと正面からリスペクトした。かなりまずい犯罪もやらかしているのだが、結末で事務所を移転しながら弱者を守るための活動はつづけているし、機会があれば再登場してほしいと思った。