2027年1月、ちょっとした謎解きで人を助けた明智あんなは、誕生日をむかえて14歳になった。しかし帰宅して机の上にあるペンダントをプレゼントかと思ったら、なかから妖精ポチタンがあらわれて、1999年の世界に吸いこまれてしまった。
名探偵になろうとする小林みくるに、明智は探偵事務所の人間とかんちがいされてしまった。そして探偵の力を見せようとする小林は明智をつれて、結婚式の準備中に花嫁のもとから消えたティアラの行方を探すことになる……
メインスタッフの川崎弘二にとっては初シリーズディレクター作品のようだ。シリーズに各話演出として参加してきたし、他の作品での助監督的な立場も経験しているので不安はないが。
シリーズ構成は、これまでシリーズの複数作品でつとめてきた村山功が登板。ネタ切れを自認している脚本家だが、ブラッシュアップを重ねてきて安定感がある。
シリーズでは珍しくタイトルに漢字が入り*1、サブタイトルも漢字を多用。試聴対象年齢を高くしたいのかもしれない。内容も村山シリーズ構成は比較的に難しい物語が多く、今回も例外ではなかった。
ティアラを盗むトリック自体はシンプルで、服装などから別の隠す場所なども考えられるが、真犯人がいつもと違う行動をしていたことが変装の伏線として効いてきたりする。
CM入り前に明智と小林の主人公コンビが真相に気づき、事実上の視聴者への挑戦状として機能している番組フォーマットも完成度が高い。今回くらいの謎解きが提示されつづけるなら安定して楽しめると思う。それどころか今回の水準を見ると、かつて『ゲゲゲの鬼太郎』に京極夏彦がオリジナル脚本を提供したように、本格ミステリ作家が作品に参加するくらい力をいれてくるかもしれない。
キャラクターデザインは他社で複数のデザインを手がけてきた矢野茜。斜めから見た時に瞳がへこんでいる、ちょっと古いスタイルのキャラクターデザインが1999年舞台の作品らしい。同じキャラクターデザイナーの1998年作品では瞳がへこんでいたのに、2000年作品が瞳が球体として作画されていた変化を思い出す。
本編の作画監督は爲我井克美で、相当にキャラクター作画も良好。これまで作画の良し悪しにかかわらずシャープな描線が通例だったシリーズにおいて、ここまで柔らかな描線で安定して作画できているところが珍しい。この方向性の作画が過去にできていたのはキャラクターデザイナーが作画監督も手がけた『ひろがるスカイ!プリキュア』最終回くらいだ。
『ひろがるスカイ!プリキュア』第50話 無限にひろがる!わたしたちの世界! - 法華狼の日記
最終回のようにすみずみまで作画に気をくばったエピソードやOPEDの繊細な表情は良かったし、キービジュアルは頭髪や衣服の流麗なフォルムがシリーズの過去にない魅力があった。
明智の母親の容貌が小林の成長後を思わせるほど髪や目の色が似ていることも興味深い。同じくタイムスリップをあつかったSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を連想する視聴者が多いようだが、私個人はTVアニメ版『ヤミと帽子と本の旅人』の結末を思い出したりした。
もちろん似ているからといって同一人物とは限らず、たとえば明智母と小林は姉妹だったりする設定かもしれないが、それはそれで業の深い展開になりそうである。
*1:同じ村山シリーズ構成の『魔法つかいプリキュア!』から2作目。


