法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『新白雪姫伝説プリーティア』雑多な感想

 淡雪姫乃という少女は父の再婚により富裕層となったが、新たな姉妹とはおりあいが悪く、学園にもなじめないでいた。しかし謎の少年たちと出会い、世界を救うプリーティアに変身することで、日常も変化していく……


 2001年にアニメ監督の佐藤順一と少女漫画家の成瀬かおりが組んだオリジナルTVアニメ。佐藤順一が取締役をつとめていたハルフィルムメーカーで制作され、WOWOWで放映された。

 しかし衛星放送作品にしては当時の水準とくらべても作画が弱く、デザインも漫画家の絵柄を活用しきれていない。千葉道徳作画監督の第5話ですら、前後よりシャープで水準的な作画にとどまる。
 佐藤総監督の下で佐山聖子が監督をつとめているが、スポット登板演出家としては見事なクオリティコントロールを見せるのに、自身の監督作品ではリソースを省力しすぎな印象がある。もちろん、これでも制作体制の限界ではがんばった結果かもしれないが。


 ただ今あらためて視聴すると、後年の『ハピネスチャージプリキュア!』の原型のようにも見える。味方の青年とラスボスをめぐる構造も同じだし、脚本家としてシリーズ構成の成田良美もローテで参加。ヒロインから闇堕ちしたラスボスを堀江由衣國府田マリ子、それぞれかつてヒロインをよく演じていた声優がつとめている配役も似ている。
 予定外のストーリー変更で世界観が破綻していった『ハピネスチャージプリキュア!』と違って、プリーティアの青年たちは前線に出て、少女と合体して変身ヒロインとなった時に戦いの傷をひきうける。ラスボスの説得も一方的なかたちではなく、恋愛至上主義ではなく誰かを大切に思う気持ちのひとつとして恋愛を位置づけ、自立したヒロインの変身で戦いが終わる。
 予定外の物語になったとスタッフが明かしていた『ハピネスチャージプリキュア!』だが、最初から結末に向けて設定を構築できていれば、この『新白雪姫伝説プリーティア』のような完成形だったのかもしれない。