キュアエールとなった野乃は、ハリーから正体を隠すように指示されつつ、新しいプリキュアを探すよう指示される。
ひとりでプリキュアをつづけたい野乃だったが、まずははぐたんの世話。そこに薬師寺が迷いこんできて……
坪田文シリーズ構成脚本に、佐藤順一シリーズディレクターコンテ。作画監督は東映をふくむ各社で活躍している仁井学と、東映作品では原画で参加してきた増田誠治。
佐藤監督は東映出身だが、演出家として東映作品に参加するのは2008年の『墓場鬼太郎』以来か。奇をてらわないようでいて、戦闘シーンの俯瞰構図などで地味に難しいことをしている。
物語の本筋は、薬師寺のキャラクター説明と、そこから新たなプリキュアへの変身。
公式サイトなどで明かしている薬師寺の背景はまだ明示せず、まず人当たりの良い表面を魅力的に描きつつ、その奥にある人格に野乃が近づこうとするドラマへつなげた。プリキュアの活躍をクラスメイトが知っている設定や、はぐたんの世話などで少しずつ状況になじませたことで、プリキュアへの変身も引っかかりなく処理された*1。
ただ、図書室にいながらインターネット検索にたよる薬師寺は、検索結果が汚染されている現状を思うと危ういところがある。幼い視聴者への教育効果で考えると微妙なところ。しかし深読みすると、可愛いと評されるたびに赤面することと、調べものでインターネット検索にたよることは、どちらも自己評価が低いという意味で表裏一体ともいえる。いずれインターネットの信頼性や危険性に注意するエピソードが描かれることを期待したい。
あと、敵の行動で未来がなくなるというハリーの説明が、比喩にとどまらないニュアンスを感じさせた。はぐたんが時間を止める描写も薬師寺視点でくりかえされたし、SF的な時間操作を物語に組みこんでいそう。
*1:逆にいうと、変身がドラマのピークにはなっていない。
