「しずかちゃんをとりもどせ」は、のび太がタイムテレビで未来の妻を見ていたところ、息子の名前が記憶と違って、顔が出木杉そっくりなことに気づく。しずちゃんが出木杉と結婚するのかと悩むが……
2007年に後半と次週の前半に分割してアニメ化された後期原作を、通常枠でリメイク。伊藤公志脚本、竜恩遠コンテ、鹿島典夫演出というメインスタッフは先週の前半と同じ。
『ドラえもん』のび太の息子が家出した/ゆめふうりん - 法華狼の日記
雲の上で昼寝することにはじまる原作を選んだのは、来年の映画『空の理想郷』を意識したものか。そして先週の前半でノビスケがのび太としずちゃんの子供と確認したことを意識するように、今度はヒデヨという少年が登場してしずちゃんと出木杉の子供と示唆する。
劇中で出来すぎとされる男性の家事が、ちゃんと現在でも正論として聞こえるところが良くも悪くも印象的。1989年初出の原作が特別に先進的だったわけではなく、日本社会がバックラッシュにさらされた30年の長さを痛感する。もっとも若者世代では家事の役割分担のジェンダーバイアスは薄まっているらしいが。
作画は良好で、シチューは色彩設計もあわせて美味しそうに見えるし、風呂場を洗うスポンジのクローズアップも動きや泡立ちが自然で良い。
「人の身になるタチバガン」は、山口晋コンテの2018年作品の再放送。当時の感想で書いていない描写として、のび太が追いつめられた時のFPS視点が良かった。
『ドラえもん』テレビ局をはじめたよ/人の身になるタチバガン - 法華狼の日記
相手の立場になって考えるパターンではなく、秘密道具ギミックをもちいて難局を切り抜けるアクション色が強い。特に空き地を舞台としてからの戦いは『呪術廻戦』の東堂葵を思わせる楽しさ。