法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『東京ミュウミュウ』雑多な感想

 2002年の全52話のTVアニメ。アニメ脚本家の吉田玲子が原作原案をつとめる漫画のアニメ化だが、アニメスタッフは阿部記之監督に十川誠志シリーズ構成という後に『BLEACH』を制作する陣容。

 2022年のリメイクTVアニメ化を機会に今さらながら少しずつ視聴し、ようやく全話を視聴した。当時のスタジオぴえろ長期アニメらしい作画の上下幅の広い作品だが、それにしても1クール目は平均や下限がかなり低め。象徴的なのが1クール目のダイジェスト映像をつかった2クール目からのアバンタイトルで、良いシーンを抜き出しているはずなのに絵柄の乱れが目立つ。
 石野聡作画監督回から「神作画」という呼称が生まれたことはよくおぼえているが、ローテ作画監督が少数で固定されていた時代にしては頻度が少ないし、その石野作画は第1話のバンクなどでも見られるものの、同時代の東映女児向けアニメと比べてもバンク全般が淡白気味で見どころが少ない。ただ、石野と同じスタジオへらくれす所属のふかざわまなぶや、初回や最終回をまかされた宇佐美皓一、コッテリした絵柄のかわむらあきお等の作画監督回も悪くはなかった。各話でも大城勉原画のアクションは楽しいし、ミュウレタスの初登場回にも石野フォロワーっぽい作画があった。


 内容は自然を破壊する人間を滅ぼそうとする敵に対して、絶滅危惧種の遺伝子能力で立ち向かうという1990年代の意識を残した対立構図。
 ただし、あまりにも主人公をはじめ変身ヒロインが私利私欲で動くばかりで序盤のギャップがすごい。特に主人公が恋に恋するばかりで悪どい表情が多く、変身ヒロインでいつづけるのもカモフラージュのための喫茶店アルバイトでケーキが食べ放題だから、という割り切った仕様。きちんと自然破壊や開発問題をテーマにするのは第8話くらい。比べるとプリキュアは身近な生活感を基盤にしながらもヒロイックな存在でありつづけたし、セーラームーンも要所の回ではそれなりに壮大なメッセージにとりくんでいたように思う。


 そこで変身ヒロインアニメとしての評価だが、変身ヒロインをつくりだして補佐する大人やマスコットが科学技術を重視しているので、変身ヒロインといっても改造人間のようなニュアンスがあることに驚く。古くはキューティーハニーもあったが、変身ヒロインジャンルにおいては作品数の低下もあいまってか、この方向の進化はとだえてしまった。敵も異星から無理やり移住しようとする「エイリアン」だ。
 各話でも、ミュウレタスの初登場回が黒幕的な敵としてで変身描写が後の回にまわされたり、OPにも登場する5人目の変身ヒロインが第10話で加入という遅さなど、スタッフがこうした作品のフォーマットになじみがないがゆえの手探り感は一周まわって興味深くはあった。
 しかし変身ヒロイン作品として視聴しても、話の密度が薄めでイマイチ連続視聴しても面白味を感じづらい。古い各話完結アニメはディテールが雑なかわりに起承転結をつめこんで見ていて飽きさせないことが多いのに。この作品はサブキャラクターが少数で固定されつつゲストキャラクターの出番も少なく、敵にされる動物がドラマとあまりかかわりがないので、あまり話に関係のない描写で時間がすぎていく。
 やがてエイリアンとの戦いが中心となり、環境問題テーマも後退。終盤で都市文明が緑化されていくわけだが、その時点でエイリアンの内ゲバと主人公の恋人をめぐる設定の開示がドラマの中心になっているので、地球を汚した人類の罪といった展開にはならなかった。敵の中心となるキャラクターをめぐるこみいった設定は少し面白かったが……