法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『岸辺露伴は動かない』(1)「富豪村」

傲岸不遜な漫画家の岸辺露伴は、特殊能力で他人の記憶を盗み見て、命令を書きこむこともできた。新たな編集者の泉京香は圧倒されるが、すぐに傍若無人な性格を披露する。
そして泉は岸辺に資料を押しつけ、新たなネタの取材にも引っぱりこむ。そのネタとは、山中に隔絶された富豪だけが住む村で、泉が新たな住人になりたいという話だった……


ジョジョの奇妙な冒険』の外伝漫画をNHKが実写化した連続ドラマ。初放映は昨年末だが、再放送で視聴した。
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スタンドの名前や姿は登場せず、人間の肉体を本の頁のように変化させる能力の効果を見せるだけ。主人公は「ギフト」と呼んでいるが、天からのさずかりものの一般名詞のようなニュアンスもある。NHKの制約かもしれないが、漫画の連載雑誌も実名をつかっていない。
外伝漫画は未読だが、できるだけ原作の世界観と矛盾なく、かつ独立した超常現象ドラマとして楽しめるように再構成していたように感じた。おかげで原作未読の立場でも設定を飲みこみやすい。
ストーリーは冒頭で主人公の能力を見せて、編集者とのかけあいで性格をたがいに浮かびあがらせて、後半の戦いにつなぐという明確な構成。マナー判定をしかけられてマウンティングを返して辛勝するというプロットは簡素で、もう少し意外な展開を期待していたが*1、富豪村まで行く森の自然風景と富豪村の判定人の子役の演技は良くて、奇妙な味の短編としてはそこそこ楽しめた。

*1:たとえば富豪が新たな肉体を求めて欲深い若者をさそいこみ、特殊な能力で魂だけ入れかわっている……なんて真相も考えていた。これならば貧しい人間がすぐ富豪に慣れた理由に別の意味が生まれるし、富豪村が外界から遮断されていることも知人に人格が入れかわっていることが気づかれないためと説明がつく。