法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『岸辺露伴は動かない』 (3)「D.N.A」

催眠療法ができると特殊能力をごまかした岸辺露伴は、編集者の泉京香から恋人のカメラマン平井太郎を治療するようたのみこまれる。
そして岸辺と泉と平井が顔あわせをして歩いている時、不思議な母子と出会う。その娘は逆さ言葉をしゃべり、周辺で事故が頻発するが……


漫画実写化ドラマの最終回。未読の原作*1はもっと独立性の高い連作らしいが、ドラマオリジナルで編集者の人間関係で連続性を出して、最終回らしい充実感があった。
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意外なほどサブタイトルどおりに遺伝子を実質以上に強調したストーリーだが、先に娘の奇行をすべて問題ない個性と断言したことや、事故の因縁を偶然と処理したことで、世界への見方は現代的だ。臓器の記憶という手塚治虫作品にも出てくるような古典的なネタでも、装飾を多くして主軸を隠したことで意外性を演出できていた。
また、因縁の男を連続ヒロインの恋人に位置づけたからこそ、まさか別離するかたちでハッピーエンドになるとは思わなかった。今回の序盤で泉が実は記憶喪失の平井に押しかけているだけと明かされていたので、数奇な運命に男が流されても結末には不快感はないが。

*1:厳密には1話目のみ、短編集『死刑執行中脱獄進行中』に収録されたバージョンで既読だが、今回は映像化されていない。