法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『NHKスペシャル』 アウシュビッツ 死者たちの告白

ナチス強制収容所で同胞の虐殺に加担させられたユダヤ人の記録を描く。初回放映は8月16日。深夜の再放送で視聴した。
www.nhk.or.jp
サウルの息子』など映画化もされたゾンダーコマンド。虐殺の現場労働をしいられ、心身をすりへらしながら同胞には裏切り者と見なされた。
そんな彼らが虐殺をメモや写真で記録して、収容所のあちこちに埋めた。その限界ぎりぎりの抵抗を、記録をつたえられた側として紹介していく。


写真が発見された報道は目にしていたし、上記の『サウルの息子』を観た前後に関連情報を読んではいた。
だが、メモが古くから発見されていて調査がつづいていたことや、その文章が読めたのはデジタル技術で鮮明化できてからということは、今回の番組で初めて理解できた。
ドラマや3DCGなどでの再現はほとんどない。しかし広い収容所でメモが発見された場所を視覚化するだけでも、映像ドキュメンタリーならではの印象的な描写になっている。


見つかった記録が断片的なことから、逆に虐殺の全体像のはかりしれなさが実感できる。
そしてそのような記録の貴重さと、それを未来へ受けついでいく大切さもわかる。
それはナチスドイツに限らず普遍的に重要なことなのだ、と言外に語るような作りの番組だった。