法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』落とし物つりぼり/強いペットがほしい

前半と後半をわけるアイキャッチが追加。作画と仕上げが同時にクレジットされていて、通常の制作手法とは異なるようだと思ったら、LINEの宣伝らしい。
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また、少し前から木野雄が助監督に入っていたが、水野宗徳がシリーズ構成に追加。かなり2017年リニューアル以前の体制にもどった。
一方、次回予告コーナーはのび太のコスプレをしたり、プロデューサーKに制作費で怒られているというメタ発言をしたり、コントとして完成度をたもってる。


「落とし物つりぼり」は、釣りをしていて学校裏の川に忘れたバケツを、秘密道具でとりもどす。しかし落とし物をとりもどすたびにジャイアンが少しずつひどいめにあい……
2011年に八鍬新之介コンテ演出でアニメ化*1した原作短編を、鈴木卓夫コンテで再アニメ化。
ベテラン演出家らしく映像にそつがない。特にクライマックスのジャイアンがつりあがる場面で、いくつもカットを割ってクローズアップで少しずつ恐怖を増していく描写が良かった。のび太の街を俯瞰する演出を、つりぼりのオーバーラップでつかってから、クライマックスで重ねてつかってリフレインしたのも印象的。
物語はほぼ原作に忠実。のび太が思いつくまま落とし物を集めていく展開と、ジャイアンが余波でひどいめにあう展開が並行し、クライマックスで交差する。他人の落とし物もひろえる機能や、場所を限定しなかったからゴミ捨て場から釣ってしまったことを、台詞で説明したのは読み返せる漫画と違ってアニメだからか。
ただひとつだけアニメオリジナルで漫画原稿をひろう場面もあったが、これはメタなギャグ以上のものではなかった。ジャイアンとかかわるわけでもなく、前後とのつながりや意外な展開もなくて。


「強いペットがほしい」は、スネ夫が親戚からあずかった大型犬ペットをジャイアンが恐れているのを見て、のび太はもっと強いペットを飼おうとする。そこでライオンを小さくして天井裏で飼いはじめたが……
てんとう虫コミックスでは未収録だった作品を、ひのもとひろしコンテで2005年以来に初アニメ化。原作では出木杉が飼い主なのだが、スネ夫に変更したのはレギュラーキャラクターを優先した結果だろうか。
天井裏に小さなサバンナを作り、小さなライオンを遊ばせる情景は楽しい。深夜にライオンをつれて街を散歩する結末も情感がある。鉛筆削り器で日陰を作ってやる描写も生活感あっていい*2
しかし野生動物を利己的に買うことを反省しないまま終わるし、小さいまま飼いつづけること自体も本末転倒で、あまり物語に工夫がない。原作者の生前にはFFランドにしか収録されなかったのも当然か。

*1:『ドラえもん』落とし物つりぼり/ありがたみわかり機 - 法華狼の日記

*2:ただ単純に日陰だけなら背景に見えている樹木にまで運んでやればいいのでは?とも思った。脚本段階では削りカスをクッションのように使う意図があったのかもしれないが、実際の描写では削りカスが存在せず、鉛筆削り器以外の箱でも良かったのでは?という疑問もある。