法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』大自然はナゾと危険がいっぱいSP

2時間SP。ココリコの田中直樹が動物愛好家として各コーナーで説明したり、希少動物を紹介*1していたのが、そういうキャラクターとは知らなくてビックリした。


「極限で暮らす人々」は、タンザニアで畑を蹂躙する象を止めようとするマサイ族の男や、ニューギニアイカダの上で長期間の漁をおこなう少年たちを紹介。
前者は懐中電灯を使ったところ、象を興奮させて逆効果。依頼してきた住民から激怒される始末。そこで唐辛子と爆薬を組みあわせて、象の鼻先で爆発させて、追いはらうことに成功。
後者は風景の映像そのものが珍しくも美しく、ジンベイザメのおかげで大量の魚が網にかかる展開も爽快感がある。この少年たち単独のドキュメンタリーも見てみたい。
他にチョモランマ*2で毎年の登山ルートを決めるアイスフォールドクターという役割りを紹介。初めて知ったが、かなり有名かつ重要な仕事らしい。
「自然界のおもしろ子育て」は、イチゴヤドクガエルやライオン、アデリーペンギンやマウンテンゴリラ、ベニイロフラミンゴ等々の子育てを一挙に紹介。
たいてい個別には知っていても、まとめて視聴すると新たなニュアンスが生まれてくるのが面白い。たとえば、子育てにおいて子供を雌より優遇するが自分が最優先なボスライオンと、子育てに慣れないので雌のように雨でシェルターを作ったりはできないが自身の肉体でかばうボスゴリラでは、対比的な興味深さがあった。
「歴史的大発見! アメリカ大陸最初の顔を復元」は、ユカタン半島の水没した洞窟内で発見された歯が、アメリカで発見された最古の人体ということから研究が始まる。
現在の米国先住民は海がひあがる寒冷期にアラスカから地続きの大陸をわたってきたという一般的な説明が、当時の洞窟は地上にあったという仮説につながり、そこに水源を求めて入ってきた女性が足を滑らせて死亡したのだろうという推測には説得力があった。同時にスタジオで北野武らが松明を落とした等の推測は事実かどうかわかるわけがないとツッコミを入れたのもバランスがあって良かった。
しかし、生活が厳しかったから現在の先住民より骨格がごつかったという仮説は、本当にそういうものだろうかと首をかしげた。生活環境によって骨格の成長具合が変わるというのか。それに骨格の見た目のごつさと、実際に環境に耐える力は違う気がするのだが……
「裸のサバイバル」は男女一組が全裸でサバイバル生活をする恒例番組。ひとつだけ持ちこめる道具でライターではなく火起こし器を選んだため着火できない女性の判断が残念だったが、斧でシェルターを作ろうとしてすぐに低血圧で番組をリタイアした男性の情けなさには唖然とした。もちろんリアリティ番組だから台本はあるだろうし、偉そうな男性がすぐ根をあげるパターンの多さに作為を感じなくもないが、それにしても……
とはいえ、罠をはってイノシシを待ちつづけた女性が、ワニを獲ってひさしぶりに食事ができた直後、せっかくかかったイノシシの命を無駄にしないよう逃がした流れは、ちょっと感動した。その女性がシングルマザーで、小さなイノシシを娘に重ねあわせていたのもぐっときた。
「戦争で英雄になったクマ」は、第二次世界大戦で中東に逃げのびたポーランド軍のエピソード。避難民が現地人から移動中にゆずってもらった子熊にヴォイテクと名づけ、プールに入れてやったり好物のビールを与えたり。
やがて番犬のように監視の仕事を助けるようになり、イタリアの戦場に向かった時は弾薬移送をおこなったり。戦後のポーランドでは飼育できないからとイギリスの動物園にひきわたされ静かに生涯を終えたという。
ヒマラヤ山脈の危険な暮らし」は過酷な山道輸送で生計をたてるドライバーの紹介。けっこう世界のあちこちで見られる光景ではあるし、同種のドキュメンタリーはこの番組でも何度も見てきたが、今回は急峻なだけでなく極寒ゆえの恐怖もあった。

*1:砂に隠れるトカゲが説明したように行動しなかったのを、無理に隠れさそうとするのではなく、そういうこともあると説明して笑いにつなげていたのが地味に良かった。

*2:番組内では「エベレスト」と呼んでいた。