法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

自民党の西田昌司氏が、森友学園問題で財務省を激しく追及したと聞いて、1年前の質疑をふりかえる

安倍政権で内閣総理大臣補佐官をつとめたこともある礒崎陽輔氏が*1、国会での西田氏の追及を「西田砲」として賞賛していた。

同じ質疑を朝日新聞がくわしく、あまり論評をくわえず報じている。
「恥ずかしい…」理財局長謝罪 自民議員「ばかか!」:朝日新聞デジタル

西田氏は「耳を疑うようなこと」とあきれた表情を見せ、こう声を張り上げた。「ばかか、本当に!」

 続けて、西田氏が「印象操作するような答弁をすること自体、あり得ないんだよ」と語気を強める。太田氏が「申し訳ありませんとしか申し上げようがない」と再び頭を下げると、西田氏は「自分たちの都合のいいように情報は出すけれども、都合の悪いのは覆い隠してしまう」と批判したうえで、財務省の責任をこう強調した。

 「一番の原因はこの役人のあり方なんです。組織の論理ではなくて国民目線に立った仕事をちゃんとやる。そういうことを総理から訓示を与えてしっかり指導していく必要がある」


さて、それでは森友学園の土地売却疑惑がもちあがった時に、「西田砲」がどのように「炸裂」したか、あらためて思い返したい。
参議院会議録情報 第193回国会 予算委員会 第7号
与党議員からの「質問」が、日本の政治体制においてどのような意味をもつか、この質疑からよくわかる。

恐らく私が野党だったら追及したいなと、こう思うんですね。ところが、これずっと調べていくと……(発言する者あり)もちろん与党でもやるんですよ。やるんですよ。ところが、これ調べていくと、はっきり言いまして冤罪である、ほとんど安倍総理の下とは全く関係のないということがこれ明らかになってきましたので、今日はそのことも含めてしっかりと私、質問したいと思うんですよ。

明らかになったことを質問すると表明したことから、追求の形式をとった与党側の説明ということがよくわかる。
ここから政府参考人だった佐川宣寿氏への質問の形式で、いかに土地取引が公正におこなわれたかを説明していく。

ここまで総理がおっしゃるんですから、私は全く総理とは関係ないということだと思うんですが、しかし、じゃ、なぜ八億五千万も値引きをしたのかと、今日はまずそこを、八億二千万ですか、与党側の方として、やっぱり疑惑を持たれないようにするために資料要求しました。それに基づいてちょっと事務方から、まず、この八億二千万、なぜこれだけの値引き額になったのかということを説明してください。(資料提示)

そして最後は与党側の代表という立場から、報道批判をおこなって終わった。

ですから、今回、私は与党側を代表しまして、今回のいわゆる疑惑だと言われている森友事件というのは、疑惑というよりも真実をきちんと報道していない、これはトランプさんに言わすとフェイクニュースですよ、これは。いや本当に。だから、まさにそれに等しい。


念のため、これは現在の与党自民党に限った光景ではない。
たとえば説明会にやらせ疑惑がもちあがった時、質疑形式で説明したかのような釈明がなされたことすらある。
原発説明会で四国電力関係者が立場を隠し質問していた件はやらせ?→質疑応答の形式でわかりやすく説明しただけ→その茶番劇ってつまりは…… - 法華狼の日記
裁判における被告と代理人の質疑のように、関係を明示しておこなわれるならば問題にならないこともある。
しかし与党と政府は対立しているという建前で野党の時間を奪うのならば、そもそも政権擁護に使うべきではなかった。