法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

朝日新聞の公文書改竄スクープへ難癖をつけている宇佐美典也氏だが、『新潮45』4月号の朝日批判特集に参加していたことを今知った

元キャリア官僚で、ツイッターのプロフィール欄で「右でも左でもないつもりの素浪人」と称している宇佐美氏。
しかし、ノンキャリア官僚が自殺したという情報にふれて、森友学園の公文書改竄を問題視した「リベラル」へ責任を転嫁するようなツイートをしていた。

さらに朝日新聞誤報という観測*1だけを反省したというツイートにおいても、朝日新聞財務省に同等の問題があるかのように主張した。

さらにスクープの価値を毀損するためか、リークを「犯罪」と主張して、取材源の秘匿を問題視するようなツイートもしている。


もちろん上記のツイートはすでに多くの批判をあびており、特につけくわえることもない。
ただ、朝日新聞元記者の冨永格氏がツイートしていた『新潮45』4月号の広告を見て、宇佐美氏の朝日新聞に対するひとつの立場が感覚的に理解できた。

高山正之氏や杉田水脈氏といった悪名高い人々にならんで、宇佐美氏も「形骸化した「反権力」メディア」という文章を寄せている。
おそらくタイトルは編集部がつけたものだろうし、実際の内容は読んでみないとわからない。ただ、宇佐美氏が雑誌に依頼された時点で朝日新聞がスクープを飛ばすとは予想もしていなかったろうし、そのスクープを原稿に反映させることはきわめて困難だったろう。
冨永氏も、月刊誌なのでしかたないところがあるとやや雑誌へ同情的だが、たしかに公式サイトで編集長の文章を読むと、あまりに間が悪すぎる*2
新潮45 | 新潮社

 安倍総理への疑惑として始まった朝日新聞の「森友・加計」報道は、一向に総理の関与が明らかにならず、いつの間にか別の話になってしまった。いまや局地戦の様相で、昨今の決算書を巡るスクープは、その副産物だろう。安倍憎しで、文脈を無視して資料の一部だけを取り出したり、重要な発言を書かなかったりと、この一年で朝日新聞のいろんな手の内が明らかになった。ではなぜそんなことがまかり通るのか。特集「『朝日新聞』という病」では、同紙を読みこんできた七人の識者が、その背景を詳しく説明している。

公文書改竄という政権全体の責任も強く問われるべき問題のスクープを、「局地戦」「副産物」と表現だけでも矮小化しようとする努力が涙ぐましい。
そもそも2017年2月9日の朝日新聞による初報も、安倍晋三氏へ直接的に疑惑を向けた論調ではなかった*3。質問状を送った相手も、理事長の籠池泰典氏と名誉校長の安倍昭恵氏であって、安倍晋三氏ではなかった。
あくまで土地売却をめぐる疑惑が主軸であって、売却額が非開示だった問題に文章の多くをさいていた。つまり朝日新聞のスクープは、行政の情報公開の妥当性という、元の話に戻ったともいえる。

*1:ちなみ宇佐美氏は反省したツイートの他にも、毎日新聞の傍証的な報道にふれて、逆に朝日新聞誤報と考えるようなツイートもしていた。宇佐美典也 on Twitter: "これ違う決裁文書ってことなんじゃないの??? ってことはもしかして朝日は誤報なの???? それでも論点ずらして続けそうだけど。 →森友文書:別文書に「特殊性」の表現 国会開示にはなし - 毎日新聞 https://t.co/PyXxyVlCNu"

*2:ただ、つづけた文章で「眞子さま『結婚延期事件』を考える」を目玉と紹介して、「この騒動を見て誰もが思うのは、皇族の結婚は「自由恋愛の結果」でいいのか、ということではないか」と主張しているのは、かすかな同情を失わせるにあまりある。

*3:本紙版では安倍晋三氏への疑惑についてもふれていたのかもしれないが、少なくともWEB記事の記述はそうではない。はてなブックマーク - 学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か:朝日新聞デジタル