法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』戦え!世界の勇者スペシャル

Googleの副社長が宇宙からダイビング」は、2012年にうちたてられたスカイダイビング高度記録をこえるため、当時Googleの副社長だったアラン・ユースタスが挑戦した日々を紹介。
 オーストラリア人のフェリックス・バウムガルトナーの3万9000km*1へ対抗するように、目指す高度は4万kmを超えるが、アランは自身の計算に自身をもち、気密服の人体実験にも志願する。
 宇宙服メーカーにつくらせた気密服だが、耐久性をしらべる人体実験でアランが何も答えなくなり、調べてみると超低温のため通信機が故障。生存機能が故障して通信機が機能するのとどちらが良かったのか。
 さらに飛行機から落下する人体実験では、後方からの出入り口が狭くて直前にひざたちで落下することに決定。そのためアンテナブレードが折れてまたしても通信ができなくなるし、パラシュートを出すところへ手がとどかない問題も発生。その後の飛行機落下実験では腹部に車輪をつけて腹ばいで飛行機から落ちることに。資金力がありそうなチームなのにけっこう後手後手だ。
 そして本番、気密服だけ着た生身で気球につられて2時間以上かけて成層圏まで上昇。そこから自由落下して音速を突破しつつ、パラシュート着地に成功した。
 成層圏の風景や地球へ向かって落下する主観的映像など、興味深い光景は多々あったし、おそらくさまざまな実験や調査もかねた計画だったろうが、アランの妻がひとり怒っているように無謀な行為であってヒーローとは違うような……


「映画化された海賊襲撃事件の真相」は、2009年のソマリア沖海賊事件において当初に英雄視された船長ではなく、機関士を本当のヒーローとして紹介。
 船員と海賊がたがいに人質をとったりしつつ最終的に解決した事件は当時に注目をあつめ、2013年にポール・グリーングラス監督の映画『キャプテン・フィリップス』にもなった。

 残念ながら映画は未見だが、当時に船長を英雄視する動きがあったことと、その船長への批判がもりあがった後日談はおぼえていたので、その詳細を描いたドキュメンタリとして興味深く視聴した。
 パニックルームのように海賊から隠れる場所を提案して進入口を溶接した機関士。海賊が分散して乗組員をさがしている間に人質の大半が脱出。海賊の襲撃で船長をのぞいた全員が隠れることができた。ある海賊が怪しんで上部の空気口に自動小銃をさしいれたが、寸か前で別の海賊に呼ばれて去っていった。
 そして乗組員をさがしていた海賊を機関士が確保すると、リーダーだった。それを利用して船長と人質交換しようとするが、海賊を刺激したくない船長は反撃を目で静止し、交換も同時にではなく海賊を先に離すよう指示。さらに救命艇を操縦するため海賊の人質として乗りこみ、船から去っていった……
 たしかに機関士のほうが娯楽映画的なヒーローにふさわしい先見の明と活躍だったが、拘束の恐怖や葛藤のドラマを描きたいなら船長を主人公にすること自体は悪くないと思った。最後で機関士が語ったように、自身の役割を理解していた乗組員全員がヒーローだったのだろう。


「ファンタジー愛好家たちのリアルRPG」は、ドイツのハノーファーで1万人が5日間かけておこなわれるリアルRPGイベント「LARP」を紹介。
 ストーリーを動かすプレーメーカーとして選ばれた政党の末端や大学講師が悪の帝王や魔女となり、デザイン学校のエルフの女王と戦う。東京ドーム10個分の広さがある草原に簡単な城壁などを設置して、集団で攻城戦をおこなう。
 武器こそ安全性を重視しているが造形はリアルで、中世の衣装メーカーが開催しているだけだって服飾もそれらしい。TRPGのようにストーリーの大筋を守りつつ、個別の行動や細部の勝敗はアドリブまか せ。
 それらしく演じられている表舞台だが、アドリブで活躍できるフリープレイヤーと違って、ストーリーにかかわるプレーメーカーは後方待機する時間も長い。その愚痴った姿がまたギャップで楽しい。
 スタジオでコメントがあったように、表舞台の戦いにVFXを追加してファンタジー映画らしくして、楽屋裏の失敗や演者の普段の日常と並行するドラマにしたててもおもしろいかもしれない。映画よりも連続ドラマに向いていそう。

*1:当時の世界新記録であるだけでなく、単身の自由落下ではじめて音速を超えた記録だという。 上空3.9万メートルからのダイビングに成功、音速超える 写真12枚 国際ニュース:AFPBB News