法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』うちのプールは太平洋/おばけでリサイクル

原作を大きくふくらませた前半と、大全集で初収録の後半と。


「うちのプールは太平洋」は、のび太たちは人ごみを見てプール遊びを断念し、空間が広くなったと錯覚させる薬を飲んで遊ぼうとするが……
基本的に原作は水遊びするだけの季節ネタ。それをサッカーをするジャイアンスネ夫にも秘密道具を飲ませて空き地を広大にしたり、風呂場からジャイアンスネ夫を迎えにいくために走りつづけたり、秘密道具の機能を素直に使ったアニメオリジナル描写を入れている。
ジャイアンスネ夫も風呂に入れて仲良く遊んだり、ちょっと普段と味わいが違うのだが、小道具を活用して日常空間を変容させていく展開はSFの楽しみそのもの。水平線がかすむほど果てしなく広がった風呂場の情景は原作のシンプルな情景に優っているとすら感じた。
さらに原作では客観的な視点がほとんど出てこないのに、今回のアニメではママの視点を入れて、風呂桶に無理やり入って遊ぶ姿の狂気を演出。リニューアル初期に薬物型の秘密道具が改変されていた自主規制が、十年をかけて完全に解消されたと感じさせる映像化だった。


「おばけでリサイクル」は、スネ夫が捨てようと庭に出した家財道具に、秘密道具の煙をあてて妖怪化。そのまま野比家で使おうとするが……
原作は短編最後の作品となった「こわ〜い!「百鬼線香」と「説明絵巻」」。しかし大全集をそこまで読み進めていなくて、未読なので差異は判断できない*1
ただ、リニューアル前にアニメ化されたこともあり、あまり新鮮味も感じない。しずちゃんが妖怪を目撃する場面の恐怖感と、急転直下の“オチ”が衝撃的だっただけかな。

*1:原作では剛田家に妖怪が行く結末ではないらしい。