法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『血界戦線』#11 Paint It Black

マクベス兄妹の過去と内面。そして主人公の義眼を奪ってなそうとすること。


第10話につづいて伊藤智彦松本理恵の連名コンテ。ゲスト演出家が何度も登板するのは地味に初めてか。
原画に中村豊田中宏紀がいるが、物語の大半は静かな過去語り。超能力者の家系に産まれながら能力を持たずに劣等感をいだく妹と、そんな娘を哀れみや義務感でなく正面から愛しつづける両親。そして圧倒的な力をもちながら気弱で力を使わない兄の日々が描かれていく。
大半がアニメオリジナルキャラクターのエピソードだが、原作未読者としては充分以上に面白かった。エピソードをつめこみすぎな原作キャラクターと違って、アニメとして適切な情報量に制御できているおかげだろうか。持つ者と持たざる者のドラマとして、独立して楽しめる。


それにしても、松本理恵監督を主軸としたオリジナルアニメ『京騒戯画』によく似ていること。人工的な都市の発生と崩壊、力をめぐって集まり別れる小さな疑似家族。
それでいて原作エピソードとの違和感もあまりない。いや、むしろ雰囲気はテンポから変えているのだが、その異なる世界の境界線に主人公レオナルドが立っている人間関係があるから、違う世界へ視野を広げるドラマへと違和感が昇華しているのか。