法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『血界戦線』#01 魔封街結社

京騒戯画』のシリーズディレクター後に東映から離れた松本理恵が、ボンズ制作のTVアニメで初監督。原作は『トライガン』の内藤泰弘
さらにキャラクターを川元利浩、クリーチャーを杉浦幸次ボンズの中核がデザイン。美術監督木村真二もTVアニメでは珍しい名前。不安要素はこれが初アニメ脚本らしい古家和尚シリーズ構成。
TVアニメ「血界戦線 & BEYOND」公式サイト


原作は未読なのでアニメ化における改変は不明だが、物語のフォーマットを説明すべき初回にしても、設定説明と主人公の物語をつめこみすぎ。
まったく展開が理解できないということはないが、見たこと聞いたことを頭で理解するより先に新情報が出てきて、画面に追いつくのが大変だった。


しかし主人公が「音速猿」にカメラを奪われて追いかけっこする部分は外せない。そこから秘密結社ライブラとの出会いと、主人公の超常の視力、そして敵との戦いまではひとつながりの物語だ。
そう考えていくと、省略できるところは少ない。ニューヨークが異界とまじわって異常な都市になったという舞台設定は最低限の説明ですませて、くわしい経緯の説明を次回の冒頭にでもまわせるくらい。それと敵の描写もひとりだけにし、物語に必要な挑戦だけを説明し、くわしいキャラクター描写は次回にまわせるくらい。他に省略できるのは、主人公が超常の視力を持ったドラマを後で描くことくらいか。
つまり初回は前後編にするか、1時間スペシャルに枠を拡大するしかなかったのかな。


それに序盤から説明と物語をつめこんだことで、なんとかクライマックスまでに描写すべきことが完了した。
おかげでドラマのピークとともに、アニメーター中村豊の高速アクションを心底から楽しむことができる。BUMP OF CHICKENの主題歌にのせた主人公の選択も、エモーショナルに味わうことができた。
最終的に、映像の力で圧倒するというアニメの根本を見せているので、スタッフに期待しただけの満足感はあった。やはり工夫して省略してほしかった気分はあるのだが、こういうかたちにしあがったことを否定できない。