法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ドラミが生まれた日/やりくりアリでリサイクル

今回からエピソード開始時の右肩にテロップを出しているのは、先月に日本テレビが『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』の放送で批判をあびたことの後追いだろうか。せっかく地デジなのだから、dボタンを押した時にテロップが出るようにすればいいだろうに。
本編の話をすると、今週は前後ともにアニメオリジナル。メインスタッフが手がけた特別企画の前半より、新入りのスタッフが手がけた後半が原作らしくて良かった。


「ドラミが生まれた日」は水野宗徳脚本で、ドラミの誕生日にまつわるトラブルを描いていく。
「ドラミ生誕100年前特別企画!」だが、30分枠の前半しか尺がないのに、つめこみすぎて展開に無理がある。ドラミの設定を解説するためのクイズ番組など、わざとらしいとしか思えなかった。
何より、秘密道具「オトコンナ」でジェンダーを逆転させる展開が粗雑で長すぎる。そもそも原作で「オトコンナ」が登場したのは初期のことで*1、現代となっては保守的な視聴者も違和感を持ちそうな描写ばかり。水野脚本の保守性*2が悪いかたちで出ていたように思う。


「やりくりアリでリサイクル」は初参加の伊藤広志脚本。検索しても全く脚本家として引っかからないが、新人か偽名なのだろうか。
ロボットのアリがゴミを巣穴に運んで、原子*3の配列を組みかえて欲しいものにしてくれるという、わかりやすいエコロジーテーマ。しかしアリが無分別に素材を集めてトラブルになったり、のび太が例によって商売に走ったり、リセットすることで全てがゴミに戻ったり……しっかり作品の定型を踏まえながらオリジナリティもあって、見事な原作パスティーシュになっていた。
しずちゃんのドレスがコンサート中にリセットされるサスペンスもいい。ピアノで体が隠れて見えない状態で引っぱったり、明らかになった状況に肩透かしと納得感があったり。

*1:初出は1974年。http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/6159/d-8.html

*2:2012年の誕生日SPでも感じた。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20120907/1347063632

*3:ただし、ペットボトルから服を作る理由として、同じポリエチレンから繊維を作ると説明されている。その他にリサイクルされた物品を見ても、「分子」の配列を組みかえるという説明で良かったのではないかと思う。