法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

広島原爆投下と長崎原爆投下の写真とりちがえは「あるある」ではある

しかし仮にも検定に通った歴史教科書でそれはないだろうとは思う。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110808-OYT1T00668.htm

 中学校向けに「自由社」(東京都文京区)が編集し、文部科学省の検定に合格した2012年度版「新しい歴史教科書」に、「広島に投下された原子爆弾」として掲載された写真が、実際は長崎に投下された時のものだったことが8日、わかった。

 同社は近く文科省に訂正を申請する方針。この教科書を巡っては、掲載された歴史年表が、東京書籍の02年度版教科書から盗用されていたことが判明したばかり。

 自由社によると、写真は1945年8月9日、原子爆弾が長崎に投下された際に撮影されたものだったが、担当者が提供された写真の説明文を転載する際に誤ったという。

 同社では「大変申し訳ない。文科省に訂正申請を行い、来年春までには完璧を期したい」と話している。

広島原爆投下で発生したキノコ雲は、キノコに見えにくい、いびつな形をしている。
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/97abom/peace/05/kinoko.htm

ファイル:Atomic cloud over Hiroshima.jpg - Wikipedia

「キノコ雲」と呼ばれるイメージには、長崎に投下された原爆がより近くはあるのだ。
http://janjan.voicejapan.org/world/0608/0608219831/1.php


長崎原爆被爆直後のきのこ雲。広島のきのこ雲と違うのは雲の柱が真直ぐに立ち上がっている。

先日に放映されたドラマ『この世界の片隅に』でも、VFXで再現されたキノコ雲の形状は写真に残るそれとは大きく異なる姿をしていた。角度によっては、キノコらしく左右対称に見える場合もあるようではあるが、映像的に粗い作り*1から判断して意図的とは考えにくい。
映画やマンガで視覚的に再現されたイメージが何度も重ねられる間に、劣化コピーのように史実から乖離していくことの象徴かもしれない。ひるがえって考えれば、「新しい歴史教科書」の教える歴史が史実とは異なるイメージのそれであることの象徴ともいえるだろう。

*1:感想でも書いたが、現代の建築物が工夫なく戦中の場面に映りこんでいた。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20110806/1312644314