初期の原作短編をアニメ化したAパートと、アニメオリジナルのBパート。
Aパートは善聡一郎監督によるコンテ。そのためか、表情や芝居の動きを抑えて淡々としたカット割りから、原作通りにシュールな展開で投げっぱなす展開まで、何となくリニューアル初期の雰囲気を思い出した。
原作は幼年誌向けで、ダジャレを現実化する面白味を短い頁数につめこんだもの。ねがいをかなえる秘密道具がかんちがいしていく悲喜劇を描いただけで、別に感動もなければ、のび太がしっぺ返しにあうこともない話だった。短くまとまって急転直下のオチに繋がるコントぶりが特色だったから、引きのばさずにアニメ化して、余った時間はBパートに割り振るべきだったかも。今回のアニメそのものも悪くはなかったが。
Bパートは女性からモテモテになる香水「モテモテール」をふりかけたことで起こる大騒動。秘密道具のしくみを解説するため、昆虫のフェロモンに言及するドラえもんが藤子Fマインドにあふれている。
女性であれば誰でも、幼児や主婦や老婆どころか、犬猫を代表とした生物の雌全てが、モテモテールをつけた野比のび太を好きになる。しかし、しずちゃんだけが普段と変わらず、宿題を教えてほしいとねだるのび太へそっけない態度をとる。
真相は、テモテールの効果がなかったどころか、秘密道具を使う前からしずちゃんはのび太のためを思って宿題を教えなかったというオチ。さらっと流しているが、しずちゃんは思いやっているだけでなく、モテモテールの効能以上に普段からのび太のことが好きでたまらないってことだよな……いわゆる「クーデレ」か「素直クール」のどちらかということか。