法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』大パニック!スーパー赤ちゃん

ママの友人から赤ん坊のよっちゃんをたのまれた、のび太ドラえもん。2人はよっちゃんをあやそうと四苦八苦している内に、誤って秘密道具「強力ウルトラスーパーでラックスキャンディー」を舐めさせてしまった。超人と化したよっちゃんに翻弄される野比家へ、さらに2人組の空き巣が侵入し……


高橋渉がコンテと演出。
原作者没後に単行本へまとめられた短編が原作だけあって、アニメオリジナルストーリーではないのに、ちょっと普段のドラえもんとトーンが違う。赤ん坊のよっちゃんが主体になるという、一人のゲストキャラクターが主人公として物語を引っ張り、ドラえもん達がいなくてもドラマが成り立つためか。後半ではドラえもんのび太が気絶したまま、よっちゃんと空き巣のやりとりだけで物語が進行するくらいだ。
無垢な存在による極端な破壊描写は、原作初期のブラックさを思い出させる。さらに高橋渉の突き放した演出が、良い具合に原作のクールなギャグを再現していた。ドラえもんが玄関の窓にめりこんでいる背中を強調しなかったり、トラックを追いかけるよっちゃんが直立した姿勢だったり、シンプルに落差で笑いを作り出す。
破壊された野比家内の背景美術はがんばっていたし、空き巣を外へ投げ飛ばすカットの破壊描写も良かった。作画でギャグをふくらませるには、もう一押しほしいところだが、それはさすがに贅沢かな。