法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『怪談レストラン』カーおばさん/たあちゃん/あの世からの鈴の音

なにげなく、ノイタミナ枠を除いた東映アニメーション作品では、良くも悪くも最も作画が安定した作品かもしれないな。オムニバスホラーなのだから、むしろアニメーターの個性を前面に出した方が楽しいだろうと思うが。


「カーおばさん」は、アンコが救われた経緯が御都合主義すぎて、不条理ホラーらしさすらなかった。無理やり感動っぽく終わっているのも御都合主義らしく感じる一因。ショウがアンコの危機を目撃してから救われたので、てっきりカーおばさんの真実を知らせる証拠か、亡くなった子の遺品をショウが使ったのかと思ったよ。
「たあちゃん」は、いかにもなパターンの話だが、こちらは無理や無駄がない。ちゃんと終盤までじわじわと恐怖を盛り上げつつ、適度に良い話でまとめている。無理やり感動的な台詞を吐く描写もないので、展開が拙速な感もない。怪談として抑えた内容であることが、学校の授業中に若い教師が話しても不自然でないことに繋がっているのも良かったな。
「あの世からの鈴の音」は、影っぽく人物を描いているのが面白い。遺影の写真だけがカラーで微笑んでいることが、結末の陰鬱さを際立たせる。少女同士の微妙な「エス」っぽさも、個人的に『魍魎の匣』等を思い出して楽しかった。もっと耽美な絵柄で演出しても面白かったかもしれない。