法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『聖闘士星矢Ω』第 27 話 旅の終焉!少女の光と若者たち!

吉田玲子脚本に、コンテは貝澤幸男と連名で畑野森生が演出、馬越嘉彦作画監督。海外では今回が最終回だそうで、さすがに力が入っている。動くところは修正を少なく、止め絵にじっくり線を入れている荒々しさが、実に展開に合っていた。
ただし、前回がじっくり闇からの回復を描いて良かっただけに、今回の前半で主人公をふくむ3人が闇を撃退したのは、いささか拍子抜け。アリアの能力によるという説明でストーリーのつじつまはあわせているが、今回は前後編に別けて、じっくりドラマを描いてほしかったな。本当の属性が闇ということが事実と判明し、アリアの助けも期待できなくなったので、今後にまた語りなおすとは思うが。
一方で後半は、戦う相手がマルス一人ということもあって、濃密なバトルで満足させてくれた。相手を複数にするより敵が弱体化していると感じさせないし、残った時間でちょうどいい規模。エデンの精神的な脆弱さも、能力的な強さと対照的で味わい深く、今後に色々な意味で期待を持たせる。
あと、主人公達が多くのものを失い、しかも敵を取り逃がしたのは、アリアとの交流を濃密に際立たせていて良かったが……今回が最終回となる海外視聴者にとってはどうなんだろう。

『バトルスピリッツ ソードアイズ』5話 合体強襲!?! 蒼海の大剣メイルシュトロム

青デッキの真価発揮。決め台詞は「完全防御」ではなく「山札破壊」で良かったんじゃないかな……
ドロイドと人間の価値観が異なる描写など、けっこうSFとしては面白いのだが、こうなると異世界ファンタジーではなく近未来ディストピアSFとして描いて欲しかった気もする。
今のところ悪くはないが、特に心を動かされるほどでもなく、これから各話感想は書かないつもり。


ところで本編とは関係ないが、サブタイトルの「!?!」という並びは、珍しいというか何というか……

『スマイルプリキュア!』第34話 一致団結!文化祭でミラクルファッションショー!!

門由利子演出と山岡直子作画監督で映像に力があったので、それなりに楽しんで見ることはできた。
しかし展開はかなり単純で、それこそ軽めの児童書みたいなハッピーエンド。バンドをやりたがって衝突する少年との問題解決も、真っ先に予想すべき方法だ。アクション場面での妖精の扱いはうまかったが、もっと屈折や意外性がほしい。

『マギ』第1話 アラジンとアリババ

田中宏紀が原画にいたり、橋本敬史がエフェクトアニメーションとしてOPにクレジットされていたり、作画は文句なし。影面積の少ないキャラクターデザインも現代的で、半裸なキャラクターが多いだけに、線のフォルムを楽しませてくれた。デフォルメ作画のラフさが宣伝番組から予想した以上で、少し不安になったくらい。


物語も、イスラム風ファンタジーとして、よくできていたと思う。ネーミング全般の簡素さも、群像劇をわかりやすくすることに寄与していて、今回の印象としては悪くない。やや駆け足ではあったが、初回で見せるべきものをきちんとまとめていた。
奴隷を器物としてあつかうような描写では、いかにもこの枠らしい踏み込みもあった。奴隷を虐げる男ブーデルは肥満体の露骨な小物で、社会批判としては単純化されていると思ったのだが、中盤に登場した主人ジャミルはことさら他者を虐げない美青年で、しかし側にいる奴隷は足枷をしている……上層階級の微妙な差異を描いていて、逆に感心した。