法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

裁判所から接近禁止命令をひきだしたりした支援団体Colaboの努力は、某大学教授によると「なにもしません」という態度になるらしい

京都女子大教授で倫理学を担当している江口聡氏が下記のようにツイートしていた。


「安全を確保してください」っていうのに対して「あいつらが悪いから私らはなにもしません、闘い続けます!」とかだったら子供その他をそういうのにまきこむのやめてください、ってなるのが当然で、ぜひそうしてほしい。

 3月23日という時期から考えて、おそらく東京都の指示でColaboのバスカフェ活動が中止させられたことへの論評だろう。


そして、先週妨害の中心人物に接近禁止命令を出すと、裁判所が判断しました。

これで私たちはバスカフェがこれまで以上に安全に開催できると思っていたのですが、東京都が「妨害者を止めることはできないから」と、Colaboのほうに活動中止を求めています。

 東京都の主張の妥当性を論じるためには、Colaboが選んだ安全確保の手段がどれほど有効かを論じる必要があるはずだ。
 仁藤夢乃氏の下記ツイートで提示された要望書にあるように、警備の強化や通報の迅速化などの対応もとられていた。


Colaboの考えは東京都に本日提出した以下の要望書の通りです。このような理由で活動を中止すれば妨害者の成功体験となり、Colaboだけでなく他の女性支援に対する攻撃もさらに深刻化することは容易に想像できます。私たちは妨害に屈せずに活動を続けます。行政にはバスカフェ継続への協力を要望します。

 しかし江口氏は具体的な対応を論じないどころか、「私らはなにもしません」などとと対応をせずに東京都へ抗議だけしているかのように読めるツイートをした。


 念のため、江口氏のツイートの「とかだったら」という表現が仮定と善解しようとしても、現実にはそうではないと留意するツイートが見あたらない。
 見つけたのは、接近禁止命令が出るほどの妨害行為があったことについて、抵抗が暴力を誘発する可能性を主張するという、順序を逆転したツイートだった。


まあああいう感じに敵対的な行動してたら、当局としてはやはり暴力みたいなの誘発される可能性は否定できないだろうと思う。あぶない。

 Colaboの対応を「ああいう感じに敵対的な行動」と評するとして、それが本当に逆効果なのか、たとえそうだとしても接近禁止命令などがあれば不要になるのではないのか、むしろ活動中止が暴力の効果を感じさせて新たに誘発する可能性は否定できるのか、そうした当然の推測を江口氏はしているのだろうか*1


 少なくとも江口氏の最初のツイートは、接近禁止命令や警察力強化といった情報をもりこむと、さすがに東京都の中止命令を「当然」と評することは難しくなるだろう*2
 いくらなんでも新宿区役所前という立地がそこまで修羅の国とは思えない。もし本当にそこまで危険な場所であれば、支援団体のかわりに利用者の安全を確保する必要も出てくる。
 Colaboなりに複数の対応策をとったことに言及しないことが意図によるものか無知によるものかはわからない。しかしどちらにしても江口氏からは倫理学者としての誠実さを感じづらい。

*1:私はツイッターを利用していないので流れを追いづらいし、江口氏は多くのアカウントを同時に利用しているので、見落としている可能性はある。

*2:後日に厚労省が出した通達も、「当然」だが、支援団体側ではなく行政側に対応を求めて支援活動を継続させる指示だった。https://www.mhlw.go.jp/content/001082323.pdf